7350 「フランク・ロイド・ライト―世界を結ぶ建築」
パナソニック汐留美術館で開催している「フランク・ロイド・ライト―世界を結ぶ建築」を鑑賞。前回、かなりの行列ができていて鑑賞を断念していて、その後、あまりに来場者が多いために、週末は事前予約必須となっている。
パナソニック汐留美術館が開館20周年で、ライトが設計した帝国ホテル2代目本館が100周年ということで、その記念展となっている。
事前予約必須とはいえ、会場はかなりの人で混雑していた。
ほんと、みんなライトが好きなんだな…と思う。
本展の主役、ライトも日本好きだったはずだ。
展示の冒頭から日本とのつながりを強く印象づけられた。
ライトの初めての海外旅行先として選んだのが日本だったのは、シカゴで開催された万博の日本館「鳳凰殿」で、日本文化に触れたのがきっかけだったという。
そして、浮世絵に強い関心を持ったライトは、収集するだけでなく、自身がブローカーとなって取引したり、展覧会を開いたりするほどの熱の入れようだった。
自身の作品においても浮世絵の影響を強く受けていることがよくわかる。
さまざまな自筆の透視図やドローイングを見ると、当然といえば当然なのだろうけど、非常に細密というか、雑なところがまったくない。
マヤ文明に影響を受けたとも言われる、二代目帝国ホテルのような重厚感のある建物を設計する一方、「ユーソニアン住宅」と呼ばれる一般的なアメリカ国民が住むことのできる安価な住宅なども携わった。
この「ユーソニアン住宅」の実寸モデルが展示されていて、これだけ撮影可能となっていた。
プレイリー・ハウスや帝国ホテルのような、水平方向への広がりのある作品が多いが、垂直方向…つまり超高層ビルも手がけようとしていたことは知らなかった。
残念ながら実現しなかったようだが、マイル・ハイ・イリノイ計画は、実に高さ1,730 mで階数は528階という途方もない高さの超高層ビル。
まぁ考えられた当時の技術では実現は難しかっただろうから、おそらくこれそのものを作るというよりも、都市機能を集約させて周辺の田園地帯を残すための提案だったようだ。
ライトのことをいろいろ調べてみると、なかなかの波瀾万丈ぶりに驚く。
施主の妻に手を出し、駆け落ちして本妻とするが、使用人にその妻と子供、弟子の計7人も殺されるという事件が起きるが、その事件後に、帝国ホテルの設計の依頼を受けている。
もしこの事件が起きていなければ、いくら大好きな日本からの依頼だとしても、受け入れてくれたかどうか…
本展ではあまりこうしたプライベートには触れられていなかったが、帝国ホテルの設計のために来日しているあいだに、明日館の話も進んでいたことを考えると、やはり縁みたいなものを感じずにはいられない。