7343 特別展「村居正之の世界」
中目黒の「郷さくら美術館」で開催中の、「特別展 村居正之の世界—歴史を刻む 悠久の青—」を鑑賞してきた。
現代日本画壇を代表する作家の一人である村居正之が描いてきた「ギリシャ・シリーズ」の数々が紹介されていた。
ギリシア文明の遺跡といえば、なんとなくギラギラとした太陽のもと、眩しいくらいに輝く巨大な石柱を思い浮かべてしまうが、彼が描くのは、群青色の世界だ。吸い込まれるような色で、まるで海の中にいるようにも思えてくる。
写真のように細密にかなり描きこまれていて、見れば見るほど、ザラザラとした石の持つ質感が伝わってくる。
そして、群青色の空はキラキラと輝いている。
輝いている“ように見える”ではなく、本当に光を反射して輝いているのは、岩絵具で描かれているからだ。
描かれる場所はギリシアだけど、これは純然たる日本画そのもので、このモチーフが日本画の良さを引き出しているようにも感じる。
入館料が12月から値上がりしてしまったが、これだけ充実した作品をじっくり観られるうえに、すべて撮影可能…って、なんて素晴らしいのだろう。