7319 企画展「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」

博物館・展覧会,芸術・デザイン

世田谷美術館で開催中の「倉俣史朗のデザイン――記憶のなかの小宇宙」を鑑賞した。
世田谷美術館へ
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倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙
倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙
冒頭のみ撮影可
冒頭のみ撮影可

世界的に著名なインテリアデザイナーである彼の名前は、実はパッとは思いつかなかったが、彼の作品のほうはすぐに思い出した。

一昨年、武蔵野美術大学で開催されていた企画展で紹介されていた椅子の数々は、かなり強く印象に残っていて、何枚も写真に残していた。

ちなみに、写真撮影は冒頭の一部のみで、彼の代表作のひとつ「ミス・ブランチ」なども撮影は不可だった。

本展は、彼の活動を以下のような章立てで紹介していく。

プロローグ 浮遊への手がかり
第1章 視覚より少し奥へ 1965-1968
第2章 引出しのなか 1969-1975
第3章 引力と無重力 1976-1987
第4章 かろやかな音色 1988-1991
エピローグ 未現像の風景

まずは、独立前の勤務していた三愛時代の紹介から。

《ミス・ブランチ》武蔵野美術大学で撮影
《ミス・ブランチ》武蔵野美術大学で撮影

デザイナーとして就職した三愛で手掛けた、ショーケースやハンガーラックの素材に、当時一般的だった木材ではなく、透明アクリルを選んでいたという話があって、その後の作品にも影響しているんだと分かる。

また「空間というのは、決して理屈とかじゃなくて、感じるものだと思う」とか「使うことを目的としない家具、ただ結果として家具であるような家具に興味をもっている」と言ったことを述べていて。こうした考えも、次々と生み出された独特な作風を生み出していることもわかる。

野坂昭如が参院選に出馬したとき、選挙運動を手伝った…というエピソードも面白かった。

彼の考えの共感したというだけで、なんと知り合いでもないのに選挙運動まで手伝ってしまうところは、すごい行動力だ。

《ヨセフ・ホフマンへのオマージュ Vol.2》武蔵野美術大学で撮影
《ヨセフ・ホフマンへのオマージュ Vol.2》武蔵野美術大学で撮影

家具の中で「ひき出し」というのは心理的なものも含め、椅子にはない秘密や対話がある、人間といちばんコミュニケーションが強いのではないかと自論を展開。

あまり“実用的”ではない引き出しを持つ家具が出てくるが、それはこうしたは考えが背景にあるのかもしれない。

また、ガラスの断面には「過去」と「未来」が同居しているのではないか…とも言っている。

板材のガラスの平面というのは、これは「現在」で、このガラスが割れたとたん、それは「過去」になってしまう…そうした発想もおもしろい。

本展では作品とともに、彼の言葉やスケッチなども多数紹介されているが、そのなかで寝ているときに見る「夢」についても語っている。

覚えているときは文字と絵の両方でメモしていたそうで、その”夢日記”も紹介されていた。

こうした地道な作業もオリジナルな創作につながっていることがわかる。

1991年、56歳という若さで亡くなってしまう。

もしもっと長く存命していたら、きっとたくさんの彼の見た夢を、次々と現実にしてくれたに違いない。

そう思うととても残念に思う。

企画展「倉俣史朗のデザイン」に続いて、世田谷美術館の収蔵品によるシリーズ企画「美術家たちの沿線物語」を鑑賞。

京王線と井の頭線に関連した作品が紹介されている。

こういった切り口は、ありそうでなかった気がする。おもしろい。

すべての作品が撮影不可なのは残念。

世田谷区立中学校生徒作品展覧会
世田谷区立中学校生徒作品展覧会

最後に観賞したのは「世田谷区立中学校生徒作品展覧会」で、こちらは先日町田で鑑賞した”世田谷区版”といったところだろうか。

会場の都合か作品はかなり密集して展示されていた。

あと、これは”なんとなく”の感覚的なものだけど、町田のほうが上手な作品が多かった気がする。

気のせいかもしれないけど。

Posted by ろん