7274 皇居三の丸尚蔵館
皇室に受け継がれてきた「御物(ぎょぶつ)」を収蔵・展示する施設が、先月、皇居東御苑内に「皇居三の丸尚蔵館」としてリニューアルオープンした。
以前一度来たことがあったので、おそらく今回が2度目だが、リニューアル後は、日時指定の予約をしないとは入れない有料の施設となった。
皇居東御苑に入るために、手荷物検査を受ける必要があるため、まずはその行列に並ぶ。
さらに13時の指定をしていても、すぐには入れず、少しずつ間隔をあけるために、また少し待たされることになる。
今年が開館30周年ということで、まずは一部を開館して、2026年に全館の開館を予定しているそうだ。
ということで、入口は仮の作りをしている。
まず最初に観賞したのは「国宝 春日権現験記絵 巻十九」というもの。
藤原氏の氏神である春日神(春日権現)の霊験を描いた絵巻物…だそうだ。
あまり詳しい解説があるわけではないので、目の前の国宝をじっくり観賞する。
登場する人物たちの表情は、いまいち”間が抜けた”感じではあるが、その雰囲気はリアリティと躍動感がある。
矢で射抜かれて絶命しそうな人や、足を切り落とされた直後の様子など、かなりむごい様子も描かれている。
別の場面では、今まさに不思議な現象が起きていることを暗示するような虹が出ていた。
全体的にかなり退色してしまっているが、これが描かれたのが、鎌倉時代の1309年(延慶2年)ごろというから700年以上も前ということを考えると、よくぞここまで残った…と思う。同じく鎌倉時代に描かれた「蒙古襲来絵詞」も、細かな描写が当時の壮絶な戦いを伝えてくれる。
もっとも実際の戦闘を見た人が描いたわけではないのだろうけど、元寇の様子と言えば、この作品が登場するほどの存在感だ。
続いては、伊藤若冲《動植綵絵》のうち、4幅が展示されている。左から、貝甲図、梅花群鶴図、棕櫚雄鶏図、紅葉小禽図と並ぶ。
梅花群鶴図の鶴の羽や、棕櫚雄鶏図の鶏冠など、ものすごく細かく描かれていて、勝手ではあるけど、若冲の”こだわり”をみたいなものを感じた。
自分もそうだけど、つい無理して写真を撮りたくなってしまう。
でも、きれいな写真なら、ちゃんとプロが撮ってくれたものがあるのだから、わざわざ無理して撮ることはないのだ。