7167 企画展「日本の美・鑑賞入門 しりとり日本美術」
出光美術館で開催中の企画展「日本の美・鑑賞入門 しりとり日本美術」を鑑賞。“しりとり”とあるが、言葉遊びではなくて、作品同士の“共通点”をしりとりに見立てるというものだ。
とてもおもしろい切り口で、一見無関係に見える作品が、何か共通点が見つかると、理解が深まるということは、自分の経験でも感じていたことだ。
第1章では「風神雷神図屏風」をはじめ屏風について、第2章では「波濤水禽図屏風」をはじめ水について、そして第3章では「美人鑑賞図」をきっかけにたくさんの図柄で、さまざまな共通点(しりとり)を紹介していく。
特に自分が気になったのは、“月”の描き方だった。
月を描くとしたら、わかりやすさで言えば、満月か三日月といったところだろうが、意外と満月は少なく、三日月はもっと少ないのだ。
今回紹介されていた作品の中で、はっきり満月とわかったのは「月に萩・蔦下絵古今和歌巻」と「月下歩行美人図」の2点だけだった。
三日月と思われるのは「春秋二美人図」「龍田川蒔絵硯箱」くらいだった。特に前者は、かなりうっすらとした三日月でわかりづらかった。
もっとも多かったのは半月より少し大きな形をした月。
「武蔵野蒔絵長角香合」「光琳模様蒔絵扇面形皿」などで描かれていたし「柳橋水車図屏風」では、金属を貼り合わせて立体的な月になっていた。
これは、月の形としては、ちょっと不安定な感じがするのだけど、この形に意味があったんだろうと推察できる。
なかなかおもしろい”しりとり”ができたような気がする。