7165 東京都現代美術館「サマーナイトミュージアム」

東京都の文化施設で4年ぶりに開催中の「サマーナイトミュージアム」では、先日東京都庭園美術館に行ってきたが、今日は東京都現代美術館に行ってきた。長らく改修工事をしていて、その後コロナウイルス感染症拡大でしばらく足が遠のいていたから、かなり久しぶりの印象。
「サマーナイトミュージアム」の企画は本当に素晴らしい。
金曜日夜という時間の有効活用しつつ、比較的空いているのに、観覧料まで割引されるなんて、とてもありがたい。
今回鑑賞したのは、東京都美術館の収蔵作品を紹介する「MOTコレクション展」。
いろいろと気になる作品も多かったが、特に印象に残ったのは、この主に2つの作品だった。


まず、ひとつめは、三上 晴子《スーツケース(World Membrane: Disposal Containers -Suitcase)》。
ローラコンベヤに載せられたスーツケースは、中身が見えるようになっている。
その一つ一つを見ると…
「放射性廃棄物」 「実験用動物 感染性廃棄物」 「バイオハザード」などなど…どれもおどろおどろしいものでいっぱいなのだ。
解説によれば…
スーツケースという形状や、 空港の手荷物検査場を思わせる誂え は、 容器の中の物質が境界を超えて旅 (移動) する可能性を示唆しています。 地球上を覆う規模の パンデミックを経験した30年後の現在においては、いかに密閉保護しようとも染み出るように広 がっていくウィルスを否応なく連想させ、三上の先見性を伝えます。
とあったが、これがなんと1992年から93年にかけて制作された作品ということを知ると、この作者の先見の明に驚いてしまう。
そしてもうひとつが、「PixCell」のシリーズ。
「PixCell」という言葉は、Pixel(画素)とCell(細胞、粒、器)を掛け合わせた造語だそう。
あれ?画素を示すピクセルってなんだっけと思ったら「pixel」だった。


これによって、実体をよく見ることができなくなってしまう。現物が目の前にあるのに、まるで”映像”のように感じられるようになる。
《PixCell-Bambi #3》は、アクリルの箱に入っている小鹿を見ようとしても、箱に加工がされていてよく見ることができない。
視点を変えるとさっきまで見えていたところが見えなくなって、別のところが現れてしまって落ち着かず、全体をつかみ取ることのできないもどかしさを感じる。


視覚や触覚にとって、 世界は表面の連続であり、あらゆるものは様々な「表皮」 で覆われている。 私たちはものを 「表皮」 において感知し認識する。 だから、あるものがリアルに感じるかどうか、 決定的なのはその表皮の質なのである。「表皮」は感性と物質を繋ぐインターフェイスであり、感性 と物質の交流のなかからイメージが生じてくる。
後半は、横尾忠則の特集展示。


そして、なにがすごいって、いまだに次々と作品を生み出していること。
今回展示されていた作品のなかには、2021年制作のもあった。
今年87歳だそうだが、こちらの記事によれば、昨年は100点も描いたという。