2514 横浜トリエンナーレ2008

芸術・デザイン

横浜トリエンナーレ2008 新港ピア会場

3年に一度の現代美術の展覧会「横浜トリエンナーレ」に行ってきた。前回(2005年)がとても面白かったこともあって、かなり前から前売り券を購入してしまうほど、見学できる日を楽しみにしていた。

そして、今日、ようやく見に行くことができたのだけれど・・・

期待していた楽しみとは違った内容に、戸惑いを覚えた。

前回のようなパッと見ただけで常識的な?理解ができる作品がほとんどないと言っていいくらいで、かなり難しく感じた。しかも作品には解説文がほとんどないのだ。あるのは作品名と作家の名前だけなので、いま目の前にある作品から、すべてを読み取らなくてはならない。

dictatorship of art (芸術の独裁) キャンドル・ライティング・セレモニー

現代美術、特に前衛的な芸術の場合、常識的な判断を越えた表現であることが多々あって、作品を表面的な印象で判断しかねないと思う。作家の意図が伝わらないことも多いと思う。事実、会場で借りた音声ガイドでしかわからないことばかりだったのだ。

そして、今回は映像作品が多かったのも気になった。

映像作品は、見る者をどうしても受動的にさせてしまうのだ。
立体的な作品のいいところは、作品を真正面から直視するのはもちろん、しゃがんでも、斜めから見てもいいし、離れて見てもいい。そうすることで見えなかったり、気づいたりすることもある。いろいろな発見ができる。それに比べて、映像作品は基本的に正面から見るもので、放映時間を拘束されてしまう。最初から見始められればいいけど、多くの場合、放映途中から見ることになって、時間がもったいない…というか、自由に見られないというのはそれだけでストレスだ。

そういった点で、前回と比べると今回は「お祭り」という雰囲気がほとんど排除されている気がした。わかる人だけがわかればいいという感じだ。なかには、15歳未満入場禁止といった展示もあって、このイベントの敷居の高さを感じさせられた。

たしかに、こういった作品は、かなりグロテスクで、見る人が見たらショッキングな映像であったかもしれない。

かなり厳しいことばかり書いてしまったが、非常に興味深く考えさせられたり、はっとさせられるような作品も、もちろんあって、いろいろ学んだことも少なくなかった。

あ=ら=わ=れ

超指向性スピーカーを使った作品は興味深かった。丸い円盤の一面は鏡で、もう一面が超指向性スピーカが埋め込まれている。このスピーカーの前に立つと、突然音が聞こえてくるのだ。その場を離れていくと、ふっと音が消える。鑑賞する者の位置や歩く速度によって、作品がさまざまに変化し、鑑賞する者も作品に“参加”しているという感じで面白い。

ついでに?ダミーも参加させてみた。

ミケランジェロ・ピストレット 17マイナス1

額縁に入った17枚の巨大なガラスを、小槌でたたき割った作品。

当然、この作品はここで作られたもので、たたき割るのに使った小槌もそのまま残されている。こうした非日常の光景は、なぜか見る者の心を揺さぶるから不思議だ。

また、今回は基本的に写真撮影についてはかなり寛容であったことについては評価できる。フラッシュを使用しなければ、すべて認められていた。

あれやこれや言っても、普段接することのないような現代美術に触れることのできる貴重なイベントなので、次回も期待したい。次回開催は2011年。次はどんな内容になるのか、楽しみにしていよう。

ちなみに、今回は大きく3カ所のメイン会場に分散していて、みなとみらい付近を散策しながら見学することができる。時間がなくて行けなかったが、ほかにも、ランドマークプラザや大桟橋国際旅客船ターミナルといった場所でも展示があったようだ。

赤レンガ倉庫1 号館 日本郵船海岸通倉庫

Posted by ろん