6579 企画展「収蔵作品による 小林清親展【増補】-サプリメント-」
以前、久しぶりに訪れた練馬区立美術館で鑑賞したのは「電線絵画展」という企画展だったが、そこにも名前を連ねていたのが、小林清親だったのは覚えていた。
それとは別に、2015年小林清親の企画展を開催したことが縁で、彼の作品や資料、遺品類約300件の寄託を受けたのだという。
今回は、その寄託品のなかから、未公開、再発見の作品・資料を中心に、以前開催した展覧会のサプリメント(増補)という位置付けとのこと。
サプリ…ってそういう意味があるんだ…。
前回の企画展は観てないが、今回の展示だけでも、彼の多才ぶりを伺い知ることができた。
小林清親は、“最後の浮世絵師”と呼ばれるうちの一人だそうだが、浮世絵だけでなく、水彩、銅板、石板など表現方法は多岐にわたり、風景画や人物画、戦争画、歴史画、風刺画、挿絵などなど、とにかくさまざまな作品を残している。
幼いころより絵が上手だったようだ。
自身の半生を描いた「清親自画伝」などは、筆でさらっと描いているのに、描かれた人々の表情なども伝わってくるうまさがある。
明治初期の東京の様子を伝える「開花絵」は、遠近感があまりなくのっぺりとした構図を思い出すが、初めて小林清親によって作られたという「光線画」は、落ち着いた色に陰影がハッキリとした作品に仕上げた浮世絵だ。
リアルさを追う一方で「寿老人の散髪」とか、動物が主役の絵のような、何のために描かれたのかよくわからないけど、かなりユニークな作品も多数あって楽しめた。
増補の企画展だから…ということか、無料というのもありがたかった。
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