7363 「椅子とめぐる20世紀のデザイン展」
日本橋高島屋で開催中の「椅子とめぐる20世紀のデザイン展」を鑑賞。この展覧会は、椅子研究家の織田憲嗣氏のコレクションから100脚の椅子を紹介するもので、実は、以前も同じような内容の展覧会を鑑賞したことがある。
家具にはさまざまあるが、そのうち椅子は、人間にもっとも近い存在と言える。
それだけに、椅子の変遷を辿ると、そのまま人々の暮らしの変化を見えてくる気がする。
直近の例で言えば、この数年のコロナ禍で、おそらく在宅勤務用の椅子が数多く求められたはずで、椅子が、まさに時代を反映していると言える証拠なのかなぁ…なんて思った。
展示は大きく4つの章に分かれていて、20世紀を俯瞰できるような構成となっている。
第1章 20世紀の始まり/アール・ヌーヴォー 1901-1918
第2章 デザイン革命/モダニズム 1919-1938
第3章 デザイン黄金時代/ミッド・センチュリー 1939-1968
第4章 斬新なデザイン/ポストモダンへ 1969-2000
アール・ヌーヴォー、バウハウス、ミッド・センチュリー、イタリアン・モダン…と、デザインを考える上で見聞きするキーワードとともに、さまざまな椅子が紹介されている。
その時代を代表するような椅子や、かなりユニークな椅子など、会場はそれほど広くないものの、けっこうびっしりと展示されている。
椅子のひとつひとつに詳細な解説があり、椅子の素材などに関するトピックスなど、見どころとともに、読みどころも多かった。1925年当時椅子といえば木製ばかりだった時代に、鉄管パイプの椅子の登場は、かなりセンセーショナルだったとか、1950年代“新素材”プラスチックが登場し、4本脚が当たり前の時代に1本脚の椅子の登場が未来を作った…といった解説があったのが印象的だった。
やはり1970年代になると、自分の身近な時代になってくるせいか、なんとなく落ち着くというか、懐かしく感じてくる。
展示の最後は、実際に座れるコーナーが設けられていた。椅子の展示では、やっぱりこれは必要。
見た目と実際に座った感覚はまったく違うことが多くて、いつも新鮮な驚きがある。
20世紀を振り返った展示だったが、いまは21世紀。
現在のデザインの潮流を、未来の人たちが振り返ったとき、いったいどんなふうになっているのだろうか。
きちんと、いまの時代を反映した展示ができるのだろうか。
同時開催中の「北欧展」もちょっとだけ見てきた。
もっともこちらは展覧会ではなく、北欧をテーマにした展示即売会で、けっこうな人出だった。