7033 椿椿山展
板橋区立美術館で開催している企画展「椿椿山展 軽妙淡麗な色彩と筆あと」を鑑賞。
画家の椿椿山(つばきちんざん)は、渡辺崋山の弟子として知られる…らしいが、椿椿山も知らなければ、渡辺崋山も知らない。
活躍したのは江戸時代後期。
山水画や花鳥画など、多くの作品を残し、重要文化財に指定された物も多いそうだ。

今回、初めて彼の作品を鑑賞したが、たしかに美しく繊細な感じだった。
おもしろいなと感じたのは、竹に雀が群がっている「梅竹群雀図」。
実に100羽以上の雀が描かれているのだが、通常だと1羽とか2羽程度らしい。
そりゃそうだろう、こんなにたくさんの雀が描かれた日本画なんて見たことない。
自刃した師の崋山の肖像画を、本来は一周忌に合わせて描くつもりが、あまりのショックに筆が進まず、完成したのが、なんと十三回忌だったという。
やけに“人間味”あるというところもおもしろいが、描かれた崋山の手が机に掛かって、ちょっとした“だまし絵”みたいになっている絵の構図はとても興味深い。
こうしたところが、おそらく、椿椿山のオリジナリティなんだろうなと思った。
フリーランスの絵師として活躍し、書簡でやりとりするいわば“通信教育”も含めて、多くの弟子を育てたそうだ。
また彼は「飯少なく、遊少なく、眠少なく、言葉少なく、磨墨少なく、着筆少なく、彩色少なく、酒を飲まず、女に近付かず、煙草を喫せず、故に十少と称す」と言われた性格は、超が付くほど真面目だったことが窺える。
椿椿山にしても、師匠の渡辺崋山にしても、今回初めて知ったが、この鑑賞が、いつかまた別の何かにつながる気がした。