7025 所蔵作品展「MOMAT コレクション」

先週から、所蔵作品展「MOMAT コレクション」は、新たな展示が始まったということで、東京国立近代美術館へ行ってきた。
いま開催中の企画展「重要文化財の秘密」の来場者が多いみたいで、発見売り場には結構な行列ができていた。
これまで収蔵作品展は何度も観てきているが、企画展のほうに作品が移動しているせいか、いつもとずいぶん配置が異なっていて、これまで見たことがない作品が多かった。
岸田劉生の作品はあちこちで見かけるのだけど、蕪と人参は初めて。


意外な感じと言えば、3Fの展示の最初のコーナーで紹介されていた、鶴田吾郎《神兵パレンバンに降下す》という作品だ。
このコーナー(6室)は「戦争をいかに描くか」というテーマで、主に戦争に関連した作品が展示されている。

この作品に描かれているのは、パラシュートで降下するおびただしい数の兵士…そして、銃を向ける兵士と手榴弾を投げようとする兵士など、いままさに作戦が決行されている瞬間を描いているが、その背景が、その状況に不釣り合いなほどきれいな青い空と白い雲というコントラストなのが妙に気になった。
戦争画は、暗く重苦しい雰囲気に包まれている作品が多い中で、これはどういう意図があるんだろう…と気にになった。
同じように気になった人もいるようで、詳細についてはこちらが大変参考になった。
10室では、”春まつり”に関連して「春の屏風まつり」という展示をしていた。
春らしい屏風が並び、華やかな雰囲気だった。
どれも素敵だったが、なかでも気に入ったのは、こちらの《和春》という作品。
屏風いっぱいに春らしさがあふれている。
スズメたちも楽しそう。
他にも気になる作品が多数あったが、相変わらず草間彌生の作品は気が遠くなるほどの世界観だし、新収蔵作品《ゴールドフィンガー》も気になった。後者の作品はひたすら整然と画鋲が挿されてるだけだが、その作品の素材として、画鋲と”指示書”となっている。作者がいなくても再現できるということのようだ。



12室で展示されていた、髙柳恵里《ポケットガーゼ》は、ガーゼの塊にしか見えなかったが、本当にそうらしい。
解説を読んで、さらにびっくりというか戸惑いすら覚えた。
これは、水で濡らしたガーゼを適当な形にした上で乾かしてできた塊にすぎません。 けれど、様々な問いを引き起こします。 「人為を感じさせない適当さとはどのようにしたら成立するのか?」「これが粘土だったら彫刻として認めやすくなるのか?」 「これはどれくらい堅いのか? 見ためと違うとしたら、その理由はなにか?」等々。「これが寄贈なのは購入は難しかったからか?」と思う人もいるかもしれませんが。
ツッコミを入れる美術館の公式の解説…。
こういった展示も楽しいものだ。