6996 企画展「サカサゴト」
銀座の資生堂ギャラリーで開催中の、shiseido art egg 岡ともみ展「サカサゴト」を鑑賞してきた。
逆さごととは、葬儀のとき、いわゆる「死に装束」とか、亡骸を北向きで寝かせる「北枕」など、ふだんとは“逆のこと”をする風習のこと。
これまで、あえて意識したことはなかったが、それを、アートに昇華させたのが、この作品だ。
解説によれば、作者の祖父が亡くなったときの体験が元になっているという。
かなり暗い会場には、古い大きな時計がいくつも並んでいる。
その古時計をよく見ると、すべてが逆になっている。
文字盤も回転も反転している。
そして時計の下部には、小さな映像が映されている。
古時計ごとにさまざまな映像があったが、どれもボヤっとしたものばかりだ。
見方によっては、ちょっと怖さを感じてもよさそうだが、それがぜんぜん怖くないのだ。
入り口にあった電話からも、紫陽花の映像からも、同じ雨音が聞こえてきた。
独特の世界観は、まるで、死後の世界…“あの世”を覗いているかのような気もした。