6839 根津美術館
もちろん、以前から存在は知っていたけど、なかなか機会がなく、これまで行ったことがなかった根津美術館へ、初めて行ってきた。
ちょっと前に改装により長期間休館していたということは聞いていたが、調べてみると、リニューアルオープンしたのは2009年10月だったそうだから、ちょっと前どころじゃない。
もう10年以上も前ってことだ。
エントランスが“映える”せいか、建物の外観もよく紹介されている。


さて、今回の企画展の中心は、蒔絵だ。

漆で文様を描いて、その漆が固まらないうちに金粉や銀粉を蒔き付けて装飾する技法のことを”蒔絵“という。
展示にもあったが、蒔絵では金粉が多く使われるが、金箔を使うのと比べると使用する金の量がまったく違うという。
約10cm 四方の金箔は0.03g ほどなのに対して、同じ面積を蒔絵の金地で表すには約4g…実に133倍もの量が必要となるそうだ。
桁違いの金の使用量と複雑な工程を見れば、蒔絵がいかに贅沢な技法であるかが分かる。
いわゆる“超絶技巧”な作品の代表格ともいえる蒔絵は、その精巧さを目の当たりにするだけで、気が遠くなってくるほどだ。
ひとつひとつ見ていくと、戦災や災害などを乗り越え、よく今まで残ってくれたなぁ…と思う。
デザインの工夫もさることながら、蒔絵の技法によって立体感を持たせたり、素材の木目をそのまま生かしたり、実に表情豊かだ。
なかにはちょっと変わった仕掛けが施された硯箱があって気になった。
蓋の表面にガラス板が貼られ、その内部に水銀が仕込まれていて、それを傾けると、なんと描かれた水車が回ったのだという。
実際にどのように動いたのだろう。
残念ながら、撮影は一切不可だった。
鑑賞者の年齢層は、かなり若めなのがちょっと意外だった。


想像以上に起伏に富んでいて広かった。時間があればゆっくり歩いてみたい。