6269 電線絵画展
ふだん写真を撮るときには、できるだけ電線や架線などが写らないようにしてしまう。
風景の一部であるにもかかわらず、“ない”ことにしてしまいがちだ。
それは絵画でも同じだ。
でも、電柱や電線が登場したばかりのころは、その物珍しさや新しい時代を象徴するアイテムということで意識して描きこまれることもあったという。
そんな絵画の中にあっては微妙な立ち位置電柱や電線に注目をしたのが、今回鑑賞した『電線絵画展-小林清親から山口晃まで-』という企画展だ。
西武池袋線中村橋駅からすぐのところにある練馬区立美術館。
展示は2階から。
まず、冒頭のあいさつに続いて、絵画を理解するために必要な予備知識の解説から。
電信のための電信線、電気のための電線、電化鉄道のための架線…と年表も細かく分けてるのは、かなりマニアックだ。
最初のコーナーで、日本で最初の電線を描いたとされる絵が紹介されていた。
ペリーが持ってきた電信機の実験をしているところを、警備をしていた松代藩の藩士がスケッチしたとされる絵だった。
江戸時代の浮世絵に電柱と電信線があるのは、ちょっと不思議な感じがする。
また同じ風景を描いていても、作者によって、電柱や電線が描かれていたり、描かれなかったりするところも興味深い。
伊東四朗、小松政夫が歌う「電線音頭」のレコードジャケット、日本最古の碍子(がいし)などの展示などもあって、想像以上に盛りだくさんの内容だった。
”電柱”、”電線”といった、なかなか面白い切り口で楽しめた。