カレンの台所/滝沢カレン
- カレンの台所
- 滝沢カレン
- サンクチュアリ出版 (2020/4/7)
著者の滝沢カレンを知ったのは、フジテレビのバラエティ番組「全力!脱力タイムズ」の一コーナーである「THE 美食遺産」のナビゲーターとして出演していたからだ。
このコーナーは、ふつうならスムーズに料理が紹介されるのに、読めずに何度も噛んだり、あり得ないほどの読み間違いをしたりするのが“見どころ”だ。
そして、それに加えて、決して真似のできない独特の世界観の表現には、いつも驚かされる(笑わされる)
本書は、そうした彼女独特の世界観の詰まったレシピだ。
30弱の定番メニューが紹介されている。
たとえば、ロールキャベツ。
本日は包まれたい欲の強い乙女なひき肉と、包みたい欲が強いキャベツの男気溢れるロールキャベツを作りました
たとえば、肉じゃが。
おい、まだくつろがせてくれよという汁の多さでしたら、後追加で10分休憩させてください。
もうこれ以上休憩されちゃ困ります。仕事してくださいという度合いでアルミホイルをめくります。
食材を擬人化して対等に語りかけるなど、突拍子のない表現は、相当ユニークだし、そんな見方があるのかと驚かされるが、料理本としては、評価が分かれるかもしれない。
言葉の通りにやってみると感覚だけで作れてしまう…ということも言われてるが、やっぱり、多少料理に心得のある人でないと、このままでは難しいと思う。
また、料理本ではなく、読み物として見た場合、この独特の表現やい言い回しも、慣れないと混乱しそうだ。
でも、“はじめに”に書かれていたことがとても印象深かった。
目と親友になってさ
目が計りになってさ
最後は味見に任せりゃいい基礎も 決まりも 間違いも 答えも
ないのだから自分だけの味
自分だけの作品があってもいい
そう、決まりはないんだ。
肩肘張らずに料理をするということの楽しさってあるってことを教えられた気がした。