3518 ココガコガ(その2)

街歩き

案内人と一緒に歩く街歩きはここまで。

これより、自由行動で、各自がそれぞれ古河の街を歩く。

実は街歩きに出発する前、主催者より、ひとつの課題が出されていた。

それは、古河で1000円で何かを買ってくる…ということだった。

身銭を切ることで、より深く古河の街を見つめるようになるというのが、その意味である。

で、何を買おうか?と考えたところ、どうしても忘れられない人がいることを思い出した。

盆栽屋のおじいさんだ。

1000円のものなんて売ってるかどうかわからないが、とりあえず行ってみよう。

店に見えない店先で盆栽を探す。

1000円なんてありそうにない。

「すみません」

仕方なく、さっきのおじいさんを呼んだが出てこない。

薄暗い家の中を覗き込むと誰もいないにもかかわらず、人のいる気配は感じのだ。なんだろう?

ふと網戸の目の前に人の頭があってぎょっとした。

おじいさんは昼寝中だったのだ。

隣におばあさんも寝ている。

わざと足音を立てて、外に人のいる気配を感じさせようとしたものの、起きる気配は全くない。

さすがに強制的に起こすのは気が引けたので、いったん一人で、古河の街を散策することにした。

曲がりくねった道(クランク)は、城下町らしい。

せっかくなので、ガイドブックに載っていそうな場所を巡ってみる。

武家屋敷の塀は、以前観光した金沢の雰囲気。

そろそろ戻るように歩いて行かないと、ゴールの時間に間に合わなくなる。

蔵造りなのに三階建ての建物を見つけた。

ガイドマップにも載っていた、篆刻美術館だった。

途中で、1000円の何かを見つけようとしたものの、やはり、盆栽屋が気になった。

そして、今日3度目の路地。

まだ昼寝してないか心配だったが、家の中を覗いてみたら…

よかった、起きていた!

値札を見ると、1000円なんて商品はなかったが…1000円で何か売って欲しいと相談。

おじいさんは、誰がそんなことを言ってるんだ?と尋ねてきて、うまく説明できずにいる間にも、何かないかと鉢植えを探してくれていたが…

で、出してくれたのが、1つのつぼみが付いたサツキだった。

本当はいくらするのか分からないが、1000円で譲ってくれた。

おじいさん、ありがとう!

時間はもう16時近くだったので、かなりの早歩きで、スタートした会場に向かう。

まだほとんど誰も戻っていなかった…。

会場では、古河市の銘菓や銘酒が並び、好きなものをつまめるようになっていた。

しばらくすると、みんな帰ってきた。

予定よりちょっと遅れて、プログラム3(プロクラム1:案内人による街歩き、プログラム2:自由街歩き)がの、トークセッションが始まった。

司会と街歩きで案内をしてくださった3人の方によるトークや、1000円で何を買ったを発表などした。

途中で、僕も前に出てしゃべったが、めったにないことなので、緊張してしまってうまくしゃべることができなかった。

古河のおもしろさが、なかなか大きく広まらないのは、古河駅が茨城県で、宇都宮線(東北本線)唯一の駅であるため、JR東日本の所属が大宮支社(埼玉県)であるせいではないかと指摘。もし、水戸支社(茨城県)所属だったら、広告の力の入れ方も、変わってくるのではないかと思った。

初めての街ではあったが、想像以上に見どころがあって、1000円を使うというきっかけによって、主催者の意図通り、より深く街を観察することができた。

Posted by ろん