2333 現代絵画鑑賞で考えたこと

芸術・デザイン

「シェル美術賞」という展覧会の無料招待券をもらったので鑑賞に行ってきた。

場所は東京渋谷の代官山。会場となっているヒルサイドテラスのあたりはこれまで来たことがない場所だし、そもそも代官山という場所自体もふだん行き慣れてないということもあって、どこかいつもとは違った気持ちで歩く。

シェル美術賞は、現代絵画の若手の登竜門的な美術賞となっているようで、「突出せよ、未知の表現で。」というテーマに表されるように、今回展示されている作品も、これまであまり接したことのないような雰囲気の絵が多かったような気がする。

とても興味深い作品が多かった。でも写真は載せられないし、作品毎に解説はできないので、詳細は割愛するが、作品そのものだけではなく、タイトルと共に、作家の思いが、とてもよく伝わってくる作品が多かったというのが印象だった。

それにしても、タイトルというものは、本当に難しいと思った。

何気ない部屋の一部が描かれている絵。ふすまで仕切られた畳敷きの和室とタンスが見える。その部屋はごく普通の蛍光灯に照らされている。手前側は電気が消されているようだ。あまりにもなんてことない絵。で、ここに「夜」というタイトルがつくと、パーッと自分の中でイメージが広がったのだ。

その作品の一番大きく占めているのが住宅の壁と屋根。そこの一部が、おそらくどこでも見られる換気扇の排気口が描かれている。これに「家」というタイトルがつくことで、一気にその作品が映えるような気がした。

あくまで僕の見方なので、いろいろ突っ込まれてしまうと、ちょっと困るけど、とにかくそう感じた。一方、入選作品やグランプリ受賞作品になると、タイトルと絵がまったく一致していなくて、むしろ戸惑いを覚えてしまった。おじゃこが「作者のコメントが欲しい」と言っていたが、まったくそのとおりだった。タイトルという手段が使えない以上、作者の声が聞きたくなってしまう。偉い先生であれば、わかるようなことかもしれないが、僕らのような素人にも作品の意図を教えて欲しい。

逆説的な見方をすれば、偉い先生にしかわからないような作品でなければ、入選することができないとも見える。これも偏見なので、難しい突っ込みはしないように…。

Posted by ろん