新幹線ガール/徳渕 真利子

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新幹線ガール 新幹線ガール

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東海道新幹線の車内販売をする人のことをパーサーという。アルバイト正社員含めて約1000人もいる。そして300人いる正社員の中で、ダントツの売上げナンバーワンになったのは、わずか22歳の著者だった。実に平均の3倍も売上げていたのだという。その後、朝日新聞から取材を受けたり、周囲からも売上げナンバーワンの秘訣を教えと欲しいと言われることなどが多くなったこともあって、パーサーの仕事をより多くの人に知ってもらおうという思いもあり、この本を出すことにしたという。

文章からは彼女の、大変まじめな性格が良く伝わってくる。そしてなにより、自分の仕事に対して、とても前向きなのだ。もちろん、持ち前の性格というのもあるだろうが、それだけではない。実際に彼女なりにいろいろな悩みもあり、それを乗り越えた結果なのだ。

この仕事に出会う前は、ある一流ホテルに正社員として勤めていたものの、自分の考えるあるべき姿とのギャップに失望し、出社拒否するほどの状況に追いつめられている。その後、ふとしたことで見つけたのが、新幹線のパーサーという仕事だった。

運も味方しているが、前向きな物事の考え方や、自分にとって譲れない部分をしっかり持っていることが、運をも引き寄せたような気がする。

いまの自分の仕事に不満がありながら「なんとかしたいなぁ…」と悶々と思っている人は、彼女のように、新幹線に住んでしまいたい(!)と言ってのけてしまうほど、仕事、職場やその環境に惚れ込むくらいじゃなきゃダメなのかもしれない。

ただ、そもそもの話、自分のやりたいことが見つかって、それに没頭できる環境を作ること自体、最も難しいような気がするんだけど。