7440 企画展「ライトアップ木島櫻谷」

博物館・展覧会,芸術・デザイン

泉屋博古館東京
泉屋博古館東京

泉屋博古館東京で開催中の企画展「ライトアップ木島櫻谷」を鑑賞。

木島櫻谷(このしまおうこく)は、明治から昭和初期にかけて活動した日本画家。

「第1章 四季連作屏風の パノラマ空間へ、ようこそ。」では、大阪の茶臼山に建築された住友家本邸のため、1915年(大正4年)頃から2年もの歳月をかけて制作された金地大屏風が展示されている。

春:桜と柳を描いた《柳桜図》
夏:燕子花を描いた《燕子花図》
秋:菊を描いた《菊花図》
冬:梅を描いた《雪中梅花》
木島櫻谷《燕子花図》
木島櫻谷《燕子花図》

このうち《燕子花図》だけ写真撮影可能となっていた。

すべて縦180cm幅720cmをこえるそうで、圧倒される大きさ。

ここから、いかに住友本邸が大きかったかということもわかる。

春の桜や秋の菊、冬の雪などは、胡粉を盛り上げてまるで油絵のような雰囲気。

かなり絞り込んで描いているのに、そうした立体感からか、リアルに見えてくる。

あまりごちゃごちゃ盛り込めないなかで、何を描き何を省くか?というところが、腕の見せどころなのかなぁ、と思ってみたり。

続いて「第2章「写生派」先人絵師たちと櫻谷」では、櫻谷や櫻谷に影響を与えた作品を紹介している。

伝・森徹山《檀鴨・竹狸図》や木島櫻谷《秋野老狸》の、もふもふ感あふれる狸は、触ってみたくなるほどのリアルさ。

《檀鴨・竹狸図》のところで「吉祥的でも文学的主題でもない狸が描かれるようになる切っ掛けを作った徹山に後の櫻谷も注目していたはず」…という解説も興味深かった。

そうか、タヌキが描かれること自体にこれといった意味がないのか…なんだか、タヌキがかわいそうな気もしてくるが、逆に言えば「描きたいから描かれる」のがタヌキとも言えるのか。

白井直賢画・本居大平餐《福寿草鼠図》や木島櫻谷《葡萄栗鼠》は、齧歯目(ネズミ目)ファンにはたまらない作品ではないか。

《葡萄栗鼠》のほうは、絵葉書にもなっていた。

第3章は「櫻谷の動物たち、 どこかヒューマンな。」というもので、こちらも第2章に続いて動物たちを描いた作品の紹介。

目を引いたのは、木島櫻谷《獅子虎図屏風》で、これはもはや西洋画、油絵のようなような感じで、とてもリアルな風貌のライオンと虎が描かれている。

解説には「どこか人間くさい」とあって、たしかにいい表情だ。

木島櫻谷《双鹿図》も、もふもふ感に加えて、2頭の鹿の表情もいい。