7434 展覧会「月岡芳年 月百姿」
太田記念美術館で開催中の「月岡芳年 月百姿」を鑑賞。
本展は前期と後期に分かれ展示作品の入れ替えがあって、実は前期にも来ている。
ただ、このときは、まだ眼鏡ができておらず、ほとんど見えていないという状況だったから、今回が事実上初めての鑑賞になる。
幕末から明治時代前半にかけて活躍した浮世絵師、月岡芳年の「月百姿」は、月にちなんだ物語を題材にした100点のシリーズだ。
今回の展覧会では、描かれている内容で作品を分類されている。
第1章 月と暮らし
第2章 月と音曲
第3章 月と武者
第4章 月と和歌・漢詩
第5章 月と日本の物語
第6章 月と中国の物語
ジャンルが極めて多岐にわたる。
当時の一般庶民の生活を描いたものから、紫式部や小野小町が登場する平安時代、織田信長、明智光秀、豊臣秀吉にいたる安土桃山時代、忠臣蔵をはじめとした江戸時代のできごとなども多数取り上げ、さらには、西遊記、水滸伝、三国志といった中国の話などもモチーフにしている。
これらをすべて“月”に関連した作品に仕上げていく作者の月岡芳年はすごい。
同時にすごいと思ったのは、こうした作品を理解し買い求めている人たちだ。
今回、こうして美術館で解説付きで紹介してもらっているから、かろうじて理解できるが、当時これを観た人たちは、そんな解説があるわけでもない。
そのうえで、これが何を描いているのかについて、絵のタイトルだけで把握するのだから、教養レベルが極めて高い人たちによって、浮世絵の文化が継承されてきたのかな…などと思った。