7095 特別展「小林古径と速水御舟」
山種美術館で開催中の、特別展「小林古径と速水御舟 ―画壇を揺るがした二人の天才―」を鑑賞。
小林古径(1883-1957)と速水御舟(1894-1935)は、二人とも名前は見聞きするものの、どちらも有名な日本画家ということくらいしか知らなかった。
共通点が多いらしく。ふたりとも、芸術活動は、歴史画・人物画から始まって、院展で活躍。その後は、細密描写による徹底した写実へ作風を変える。
小林古径《弥勒》…唯一の撮影可能作品また、どちらも実業家の原三渓(原富太郎)からの支援を受けていたこと、時期は異なるが、ヨーロッパの視察旅行に出かけていることなど…。
年齢差はあったが、そうした共通点の多さや、芸術活動に対する姿勢など、シンパシーを感じるところもあったのかもしれない。
お互いに対して、いまでいうところの”リスペクト”があったようで、切磋琢磨する間柄だったようだ。
唯一写真撮影が許されている、小林古径《弥勒》は、御舟と一緒に旅行したときの写生をもとに制作したものだという。
解説とともに、速水御舟のことばも紹介されていたが、特に気になったのがこれ(一部抜粋)。
型を恐れる
私が一番恐れることは、型が出来ると云うことである。何故なれば型が出来たという事は一種の行詰りを意味するからである。芸術は常により深く進展して行かねばならない。だからその中道に出た型はどんどん破壊して行かねばならない。
次々と新境地を開いていく速水御舟の強い意志を感じる。
本展のポスターにもなっている、速水御舟《炎舞》は重要文化財に指定されている。
先日の東京国立近代美術館では、公開されなかったのは、こちらの特別展のためだったのかもしれない。
初めて鑑賞したが、まず思ったのは、絵の大きさが想像よりもかなり小さかったということ。
暗い展示室のなかに、燃え上がる炎の色は、なんとも怪しく、まるで熱を感じるほどだった。
火に集まる蛾たちは、すべてこちらに羽を向けている状態で、ふつうあり得ないのだけど、炎のリアルさに圧倒されるせいか、違和感がまったくないのが不思議だった。
山種美術館が、あらたに”年間パスポート”を数量限定での販売を始めたそうだ。
機会があるごとにたびたび訪れるので、これはチャンスと購入してみた。
その記念として、竹内栖鳳《班猫》、奥村土牛《醍醐》、そして速水御舟《炎舞》のポストカードをいただく。
企画展や特別展の展示内容が、前期後期と変わる場合は、そのどちらかを選んで鑑賞してきたが、これからはどちらも鑑賞量を気にせずに観に行けそうだ。