7055 企画展「江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし」
江戸時代でもっとも人気のあったペットといえば、犬とか金魚などもいただろうが、群を抜いて猫だろう。
浮世絵などでのモチーフに登場する動物の中では、ダントツだと思う。
穀物や蚕を荒らすネズミ(ハムスター好きからすると抵抗があるが)を捕まえてくれる猫は、とてもありがたかったはずだ。
そんな極めて重要な仕事をやってのける一方で、こたつで丸くなったり、甘えてくるかと思いきや、自己主張が強くどこか唯我独尊的な面もある猫は、人々にとっては、唯一無二の存在だった。
これだけ、“キャラ立ち”していれば、みんなの共通認識があるから、描く対象としても、擬人化するモチーフにしても、とにかく扱いやすかったのだろう。
今回の太田記念美術館の企画展「江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし」は、そんな、さまざまに取り上げられた猫が登場する作品ばかり紹介されている。
どんなにシリアスな場面でも、そこに猫がいるだけで、空気がガラリと変わる。
でも、描き方次第で、恐ろしい“化け猫”にもなる。
そして、擬人化した猫だったら、何を言われても「まぁいいか」みたいな感じになる。
本当に猫のキャラクターの幅の広さを実感する。
これこそが、モチーフとして使われる一因なのだろう。