7084 企画展「生誕110年 佐藤太清展ー水の心象ー」

博物館・展覧会,芸術・デザイン

企画展「生誕110年 佐藤太清展―水の心象―」の鑑賞のため、板橋区立美術館へやってきた。

佐藤太清…初めて聞いた作家だったが、在中国日本国大使館や宮内庁に絵を納めたり、日展の審査や理事なども務め、文化勲章も受賞したほどの日本絵画の重鎮だった。

今日訪れた美術館のある板橋区に長く在住していたこともあり、この企画展が催されたのだろう。

板橋区立美術館へ
板橋区立美術館へ
生誕110年 佐藤太清展―水の心象―
生誕110年 佐藤太清展―水の心象―

本展は佐藤太清の作品の変遷をたどっていく。

写真撮影は不可
写真撮影は不可

初期のころは“具象表現”が多いが、徐々に本展のタイトルにもなっているように、水を意識した作品が増えていく。

初期のころの作品《かすみ網》は、背景の穏やかな雲や季節感ある紅葉の葉が、一瞬のどかに見えるが、実は捉えられた鳥たちの最期の姿で、そのギャップが、かなり印象的だった。

その後、現実世界と水面に映った像のシンメトリーに注目した作品が作られるようになり、完全な抽象表現とまではいかないまでも、雨や雪、風などを取り込んだ作品が作られていく。

これまでの日本画とは一線を画すとされた《風騒》は、静的な雰囲気であることの多い日本画にあって、一瞬の動きを見事に捉えていて、見応えがあった。

他にもやはり日本画とはちょっと違った雰囲気の作品が続いた。

これが色に対するこだわり
これが色に対するこだわり

本展では、作品は一切撮影できなかったが、彼の画室に遺された全絵具をサンプル化した色相図「太清の絵具棚より」だけが撮影可能だった。

岩絵具は、通常3色以上の色を混ぜるとくすんでしまうそうだが、調合が難しいらしいが、それを太清は、実に1000色を超える色を作り出していたようだ。

色にすさまじいこだわりを持っていたことがよくわかる。

Posted by ろん