7003 企画展「横尾龍彦 瞑想の彼方」

たまたま手に取ったチラシで、まるで海のなかを描きこんでいるような不思議な作品が気になったおじゃこが、ぜひ観てみたいというリクエストを受け、はるばる神奈川県葉山町までやってきた。
神奈川県立近代美術館葉山館で開催中の企画展「横尾龍彦 瞑想の彼方」を鑑賞。

抽象的な画風は、なかなか興味が持てないが、まるで夢のなかを覗き込んでいるような雰囲気はかなり独特。
40代のころ、つねに幻覚や苛まれていたというから、描かれているのは、彼が実際に“目にしたり”、“体験したこと”なのだろうか。
横尾龍彦がかつての自身の展覧会のリーフレットに以下のようなことを書いている。
「見る」とは肉眼でものを観察することではなく、内なるまなざしによって捉えることを意味する。われわれ人間は、奥底まですべて見通すことはできない。画家はイメージの混沌のなかに真実を探すのだ。
外から見るだけでは、ものに内在する神秘を見ることはできない。

僕がさっぱりわからないと言っているのは、つまり内なるまなざしで見ていないからなのかもしれない。
それでも、このあたりの画風までは、なんとなくわかった気がするが、そのあとの画風の変化は、完全に“置いてきぼり”になってしまう。
最後は、ほとんど偶然に任せているような作品になっていく。
小躍りしながら、絵の具をぶちまけたり、色のついた粉を撒いたり、棒のようなもので突いたりしていた。
こうなってくると、もう作品の解釈には限界を感じずにはいられない。


今回、ここ神奈川県立近代美術館葉山で企画展が開催されたのは、かつて逗子で暮らしていたことが縁ということだが、他に少年期を過ごした福岡県北九州市、そして…なんとアトリエを構えた秩父市のある埼玉県でも、巡回展が行われるらしい。
わざわざ電車とバスを乗り継いで、かなりの時間を掛けてやってきてしまったが、埼玉県立近代美術館でも開催するらしいと知ってちょっと悔しい気がしてしまった。