6294  「東京海上日動ビル」解体へ

建築・都市

皇居前広場からもよく見える東京海上日動ビルが解体されるという。

もともとは「東京海上ビル」だったが、日動火災との合併で、名称が少し長くなった。

その東京海上日動ビルは、建設までには紆余曲折あり、時代を築いた超高層ビルのひとつだ。

10年以上前の写真だけど…
10年以上前の写真だけど…

1963年の建築基準法改正で31mの高さ制限が撤廃されたことを受け、皇居付近で初めての超高層ビルが計画された。

1965年に当初計画が公表されるや「美観を害する」「皇居を見下ろすのは不敬」などと反対が相次ぎ、30階建てを25階建てとして、高さを30m下げることでようやく着工にこぎつけたのだそうだ。

そんなことがあったのに、今では、周囲の多くのビルよりも低くなってしまったというのは、なんとも皮肉なものだ。

オープンは1974年だそうだから、竣工からもうすぐ50年。

最初は、多くの人たちに建設が反対されていたのに、それがいまでは保存の声が上がるなんて、価値観なんて、意外と大きくは変わってしまうものだ。

まぁ、「近代建築の父」ル・コルビュジエに師事した、日本の近代建築の巨匠である前川國男唯一の超高層建築…なんてことを聞くと、たしかに、そのまま壊してしまうのは、ちょっともったいなく感じてくる。

何でもの保存するってのは、どうなかぁ…とも思うけど、こういうことすら考え方や価値観が大きく変わっていくことは間違いないわけで、あまり今の常識だけで判断しない方がいいのかもしれない。

Posted by ろん