6054 ‘”思い込み”記事の違和感
また鉄道に関連した違和感を覚える記事を見つけた。
この記事の趣旨は、東京では相互乗り入れが盛んに行われていて、その影響として、“お洒落な”東急東横線が迷惑を被っているという話題だ。
相互乗り入れ(相互直通運転)ができれば、都心で折り返しをするスペースが不要となるうえに、ダイヤにも余裕ができるメリットがある。
一方、他社からのダイヤの乱れの影響を受けたり、始発列車が減ることで着席機会が減ってしまうというデメリットもある。
そういった意味では、これは相互直通運転をする各社に言えることで、ここで取り上げている東急東横線だけの問題ではないはずだ。
しかし、この記事では、なぜかそれに加えて、東横線の“ブランドイメージ”なるものに変化が生じたと伝えている。
彼らからすれば、毎朝毎夕の通勤時にはなんだか名前もわからない駅での事故の影響で待たされた挙句、休日にはわけのわからない乗客が大量に自分たちの街、横浜に押し寄せてくる。自分たちの電車がそうではなくなったような気分になるのかもしれない。同じ路線上にいろいろな人たちが乗った結果、路線のブランドイメージにも微妙に変化が生じたのである。
東急東横線の乗り入れ先は、東武東上線や西武池袋線となるが、ここから来る乗客に対し、“わけのわからない乗客”と、かなり失礼な表現を使っているが、これはまぁ個人の感想だから大目に見るとしても…
東横線の東京メトロ副都心線への乗り入れは、もう一つの副産物をもたらした。渋谷駅を地下化してしまったために、横浜から渋谷に買い物にやってくるお客様が、そのまま副都心線に揺られて新宿三丁目の伊勢丹に行くようになってしまったのだ。地下深くに潜ってしまった渋谷駅で降りて地上に出るよりも、伊勢丹なら駅直結である。渋谷は終着駅、乗換駅ではなく単なる通過駅に堕してしまったのだ。意外なポイントで人の流れは変わってしまうのであ。
この部分は、あれ?と思った。
もちろん、東急東横線沿線から乗り換えなしで新宿に行けるのだから、伊勢丹に行く人もいるだろう。
だからと言って、みんながみんな新宿の伊勢丹に向かうとは思えないし、渋谷駅が通過駅なってしまって、人の流れは変わってしまったとあるが、そもそも新宿三丁目だって途中駅だ。
この著者の話は本当だろうか。
ちょっと調べてみると、まったくそんなことはないとわかる。なんと、相互直通運転を開始して、むしろ乗降客数は増えているのだ。
当然、東急電鉄は相当な熟慮のうえで相互直通運転を開始しているはずで、指摘されずとも、渋谷駅が終着駅でなくなることの問題なんて、言われなくたってわかってるはずだ。
ろくに調べもせず、自分の主張したいことを、ただ思い込みだけで言い放ってしまうというのは、ちょっと恥ずかしい。
でも、自分も気をつけないと…とも思う。