こちら、ナース休憩室。/小林 光恵
大学からの友人に看護師がいるが、以前、飲み会の席などで彼女を見ると、ちょっとつらそうな感じがしていた。
その後、久しぶりに話をしたとき、もちろん、大変ではあるのだけど、それ以上にやりがいのある仕事である…ということを聞き、無意識のうちに「看護師の仕事は過酷」と思いこみ、勝手につらそうに見えただけだったのかもしれない…と、自分の偏見を恥じた。
本書は、看護師である著者の経験や周囲の同僚などを通じて、本書のタイトル通り、ナースが休憩室であれこれ会話しているところに居合わせているかのように、肩肘張らない雰囲気で語っている。
著者の出会った多数の看護師さんが登場。
本当に日常の些細な風景から、二人病室へ別々に入院した女性が、なんと40年ぶりの再会だった…といった、まるでドラマのような出来事まで、
彼女たちの様々な経験が紹介されている。
なかには、けっこうわがままな患者もいるなぁ…と思いつつも、何らかの理由で入院や通院せざるを得なくなったというストレスは、人を変えてしまうこともあるのかもしれない…なんて思った。
看護師のほうも、できるだけ患者の気持ちに寄り添いたいと思っていても、人の気持ちなんて、完全に理解できるわけではないから、ときとしてすれ違ってしまったり、誤解を招いてしまったりする。
看護師の奮闘ぶりよく伝わってくる。
やっぱり大変な仕事だなぁ…と思ってしまう一方で、大変だからこそ大事な仕事だし、心から応援したいという気分になってきた。