4282 顔面遊園地 ナンシー関 消しゴムの鬼
人類初の?消しゴム版画家、史上最強のテレビウォッチャーにして 稀代のコラムニストと言われた、ナンシー関が急逝して、もう12年。
生前、さまざまなメディアでコラムを発表し、実に5,000点以上の消しゴム版画を生みだした。
そんな彼女の作品の数々が、一挙公開する展覧会「顔面遊園地 ナンシー関 消しゴムの鬼」が開かれているということをおじゃこから教えてもらい、渋谷へ向かった。

たくさんの外国人が物珍しそうに写真を撮っていたスクランブル交差点を渡り、センター街を抜け、スペイン坂を上がって、会場のあるパルコへ。

圧巻は、ハンコの実物、約800個の展示。
どれも本当によくできている。
よく似ているし、添えられたひと言が、秀逸なのだ。
誰もが知ってても、けっして誰も取り上げることのないような一瞬を切り取るのが、最高にうまい。
笑点の大喜利で答えた歌丸が、円楽の方をちらりと見る仕草を連続写真のように並べた作品とか、伊藤英明の脇には「俺のキノコ」、田中義剛の脇には「訛るだけの男」なんて、言われると「あぁ」…ってことになる。
パーツのひとつひとつに荒井注や関口宏の顔面のハンコが押された健康座布団とか…
ウェディングドレスをチータ (水前寺清子)の顔で埋め尽くしたり…
前面に小野ヤスシの顔と、その脇に「以上です、キャップ」と描かれた小型冷蔵庫があったり…
想像を超えるギャップがたまらなく面白い。
一部のコーナーだけ写真撮影可能なところがあったが、これを見て、何を描いたものなのかがわかる人は、もしかすると多くないんじゃないかなぁ…なんて思った。
ちなみに左は由美かおる、右は映画「北京原人」を演じた本田博太郎である。
見学者の子どもが「知らない人ばっかり~」と言っていたのを聞いて、亡くなって12年という歳月を感じずにはいられなかった。
思い起こせば、今年2014年ほどユニークな人たちが登場した年はないだろう。
彼女を知っている人だったら、今も生きていてくれたら、どんなコラムを書いてくれるだろう?…と誰もが思うに違いない。