4226 今年もやってきた「国語に関する世論調査」
今年も、「国語に関する世論調査」報告の季節がやってきた。あぁ…1年は早いなぁ…と実感。
実は、毎年この発表を密かに楽しみにしている。
知っているようで知らない言葉の意味や、世間の言葉に対する考えなどが分かってとてもおもしろいからだ。
「チンする」9割に浸透=慣用句は誤用が増加―国語に関する世論調査・文化庁
この調査の中から、記事に取り上げられた10の言い回しを見てみる。
90.4%が使うという「チンする」…最近の電子レンジはあまり、チンとは鳴らないような気もするけど、言いやすさもあって、定着したのだろう。
86.4%が使うという「サボる」…こちらも、他に言い換えられそうな適切な言葉もないから、定着することに違和感はない。
記事の内容がちょっと気になったところがある。
一方、世代で差が大きい語も多く、「告(こく)る(愛を告白する)」や「きょどる(挙動不審な態度をする)」を使うのは30代以下に集中。ネットから生まれ、否定やけなす意味で使う「ディスる」は30代以上にはほとんど浸透していなかった。「タクる(タクシーに乗る)」も戦前からある言葉だが、使うのはほぼ20~30代に限られた。
“告る”を使うのは30代以下に集中というが、それはある意味当然だろう。
その言葉を使う“特定の状況”になるかどうかによって、浸透の仕方が変わってくるのはずで、40代以上で、“告る”を使うってことは、そうないような気がするのだ。
そういった意味で、年齢差によって、使われる言葉に差が出てくるのは当然だろう。
たとえば、最近の若い人に、テレビの「チャンネルを回す」とか、ビデオの「巻き戻す」という言葉が通じないということを聞いたことがある。
でも、これらは言葉の由来がハッキリしているし、雰囲気やイメージは伝わるだろうから、それほど大きな問題にはならないだろう。
今回の調査結果のなかで、自分の不勉強を実感しつつ、印象的だったのは、「煮詰まる」という言葉だ。
「議論が行き詰まり結論が出せない状態」というのは、間違った意味。僕も含め、実に51.8%の人がこう覚えていた。
正しくは、「(議論や意見が十分に出尽くして)結論が出る状態になること」。こちらは、40.0%。
ひとつの同じ言葉なのに、半分以上の人が誤った意味で認識していて、正しい意味の方が少数派となると、この言葉を使うこと自体が危険なような気がする。
きっとそんな言葉は、たくさんあるのだろうなぁ…。
今年もまた「国語に関する世論調査」で楽しませてもらうことができた。