4007 価値観なんてあっという間に変わってしまうけど…
経済協力開発機構(OECD)が、世界の65か国・地域、約51万人の生徒を対象に実施した国際学力テストで、先月その結果が公表された。
2000年から3年に1度実施されているが、2012年の調査では、日本をはじめとするアジア勢の成績が上昇した一方で、教育先進国と言われた北欧諸国の成績が急落したことが注目を集めたそうだ。
「北欧の教育王国はなぜ崩壊したのか? スウェーデンの学力凋落の原因を探る」 という、産経新聞の記事によれば…
北欧諸国では近年、国家の教育予算を削減し、子供たちの学力向上を地域や学校任せにする傾向がみられる。このため成績上位校と下位校との学校間格差が広がっている
国家の教育予算を削減…というと厳しそうな感じがするが、教育への国家の関与を薄めて、地域と学校の裁量権を拡大する「教育の地方分権化」、そして民間も参入して学校選択制(フリースクール)を積極的に導入したという。
これだけ聞くと、なんだか、すごくいい感じがしてくるが、結果的にこれが失敗で、自治体に裁量を与えすぎたせいか、学力の地域間格差や学校間格差が急速に拡大してしまったそうだ。
また大量の移民により、現地の言葉をしゃべれない生徒が増え、学習に支障を来してしまっているという。
うーん…わずか10年ちょっとでこの変わりよう…
こうなると、日本の“ゆとり教育”にも影響を及ぼしたスウェーデンの教育とは、決別してよかった…ということになってしまうが、本当にそうだろうか?
これだけでは判断が付かない気がする。
今でこそ批判の多い、ゆとり教育だけど、導入に当たっては、多くの検討を重ねたはずだし、問題があったにせよ、すべてがダメだったわけではないだろう。
また、教育の現場では、相変わらずいじめや体罰をはじめ教育の問題は山積している。
どんな意見でもそうだけど、一方に偏りすぎるほど怖いものはない。
ただ間違いなく言えること…それは、あっという間に変わってしまう価値観や考え方に振り回されるのは、この教育を受ける子どもたち…ということだ。
この世代は何かあると、すぐ、「ゆとり世代」と、ひとくくりに揶揄されてしまいがちなのも、ちょっとかわいそうだ。