3838 時間を止められた街
先週歩いた、虎ノ門5丁目と麻布台1丁目付近…心のどこかずっと引っ掛かっていた。
今日はある程度、仕事にめどが付いたので、帰りがけに、また歩いてみることにした。
交通量も人も多い桜田通りから、一歩入ると、急に静かになる。
“仙石山町会図”が掲げられていたあたりは、町として体裁が整っているようだったが、一部には、先週見たような、フェンスで覆われた建物を見掛けた。
フェンスの位置が、あり得ないくらいに出入口に近いところにあるのが特徴。
路地を抜けると、アークヒルズ仙石山テラスと、仙石山レジデンス、そして、仙石山森タワーが現れる。
再開発が完了した地域は、“ヒルズ”の名の通り、少し高台になっている。
一方、一段下にある再開発“予定”地域に向かうには、1本の分かれ道の坂を下っていく。
再開発予定地域に向かう坂の上には、特徴的な住宅があったので、近づいてみてみたら、再開発のための工事事務所だった。
工事事務所が、再開発予定地域を見下ろす位置にあるのは、なんだか象徴的。
坂を下りたあたりは、麻布台1丁目1番地。木造住宅が並んでいる。
なかには、人は住んでいるのか、いないのか…どちらとも取れそうな感じの住宅もある。
フェンスやベニヤ、草や蔦などで覆われていれば、使われていないのは明らかだけど、けっこう“微妙な”住宅が少なくなかった。
誰も住んでいないと思って覗き込んでみたら、窓に明かりが付いていたり、中からテレビや話し声が聞こえたりして、ビックリした。
日が暮れるのが遅くなってきたとはいえ、次第にあたりも暗くなる。
遠くから見たときにはよくわからなかったが、全体をネットで覆っている建物も多かった。
人の手が入らなくなった建物は、そこで時間が止まり、それに引きずられるように、その周辺も時間の流れが遅くなってるよう。
駐車場に止まっていた選挙カーを見ると、一気に2013年6月の風景になったような気がした。
人通りはけっして少なくなく、車もときどき走っている。
けれど、それは、活気というものとはほど遠く、周辺の明かりの付かない建物が、このあたりの空気を作っているようだった。
明かりの消えた建物の前で見上げてみると、そびえ立つ仙石山森タワーの姿があった。
時間が進んだ街と、止められた街。
再開発は必要なことだとは思うけど、このような状態が続く状況はなんとかならないものだろうか。
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ひととおり見てきたものの、まだ見落としている風景がたくさんありそう。
またそう遠くないうちに行ってみようと思う。