3647 黒部ルート見学会(後編)

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欅平から仙人谷まで乗ってきた上部専用鉄道もあとちょっと。

仙人谷駅から黒部川第四発電所駅までは5分足らずで到着。

自分たちを引っ張ってきた機関車は、すぐに反対側に付け替えられ、ふたたび欅平方面に向かう準備をしていた。

見学者たちは、案内にしたがって、黒部川第四発電所に向かった。

言われなければ、ここが地下200mの空間ということを忘れてしまうくらいの施設だ。

通された部屋は、役員会議室のようなところで、机には参加者の氏名が書かれたプレートが置かれ、そこに座るように言われた。

こうして急に個人を指定されると、なぜか緊張する。

ダム建設に関する解説映像を10分ほど視聴。おみやげに、ペットボトルに入った破砕帯で湧き出ている水をいただく。

ひととおりの解説が終わり、発電機室に入る。

広い!

何度も言うが、ここが深さ200mのところにあるというのが、にわかには信じられない。

無駄に高さがあるような気がしたが、発電機をメンテナンスのためには、これくらいの高さがないと発電機を引き上げられないそうだ。

いまから50年以上前に、こんな大規模な施設を作り上げた技術や熱意には感服する。

制御室は、いまは無人で遠隔操作されているそうだ。

実は、今日は、4台ある発電機はすべて停止していた。

原子力発電所が止まっていたためにフル稼働させていたため、メンテナンスが必要になったことや、今年は黒部ダムの上流域で降水量が少なかったために、貯水率が低かったため…とのこと。

おかげで、水車室に入ることができた。回転しているときは、あまりの音に近づくことすらできないそうだ。

黒部川第四発電所の見学を終え発電所を出ると、インクラインへ。

インクライン下部→インクライン上部(インクライン)

インクラインは、黒部川第四発電所を建設する資材を運搬するために作られた。

旅客を運ぶケーブルカーと、構造はまったく同じだ。案内人の方の説明によれば、所管する官庁が異なり、貨物用のインクラインは厚生労働省、 旅客用のケーブルカーは国土交通省という。

ちなみに、昨日見た突然線路が消えたのは、これもインクラインの一種だそうだ。

ワイヤーを繋いだ貨車をそのまま上げ下げするという。

 

吸い込まれそうなインクラインの軌道。

たまたま座った位置がとてもよくて、前方が見通せた。すれ違うインクラインもバッチリ見ることができた。





インクラインは約20分掛けてゆっくりのぼっていく。

その間に、約10年ほど前に、NHK紅白歌合戦で中島みゆきが、上部専用鉄道の黒部第四発電所前近くで歌ったシーンを視聴する。

作廊谷→黒部ダム(黒部トンネル)

変わった乗物?はここまでで、ここからは、一般の観光バスで、黒部ダムに向かう。10kmちょっと、約40分の道のりだ。

途中、横坑から、外の景色を見学するために一時停車。

横坑は、かつてズリ出し(掘ったトンネルから出た岩石)を排出するために設けられたそうで、いまは換気口としての機能を果たしている。


標高は1000mを越え、周囲は一面の銀世界となっていた。

あたりは、もう完全な冬だった。

 

 

欅平を出発して約3時間半で、黒部ルートを走破し、黒部ダムに到着。

とても興味深い経験をさせてもらった。

また機会があれば、今度は逆ルートで、黒部ダムから欅平に向かってみたい。

Posted by ろん