3646 黒部ルート見学会(前編)
いよいよ、念願の見学会のはじまり!
まずはエントリーした本人が来ているか免許証の提示などで確認し、さらには危険物の持子もはないか、荷物や金属探知機などを使って入念にチェック。
見学会に当たっての注意事項などの説明は、食堂で行われた。
テーブルに書かれていた注意書きを見て、あるテレビ番組を思い出し、吹き出してしまった。
ひととおりの説明を終えて、出発。
黒部峡谷鉄道の改札口を通って、昨日降り立ったプラットホームに向かう。
ホームから先が、工事のための専用鉄道の区間となる。
工事専用列車も、きちんと時刻表に沿って走っているので、発車時刻までに、ヘルメットを手渡され、線路に並行して走っている冬期歩道を見学させてもらう。
この中を何キロも歩くなんて、気が遠くなりそうだ。
欅平駅→欅平下部駅(工事専用線/欅平駅構内)
欅平駅を出発し、竪坑エレベータのある欅平下部駅までは500mほどの距離。
竪坑エレベータに貨車を載せやすいように、スイッチバックして欅平下部駅に到着。
これで、一番後ろに連結していた貨車が先頭になり、このまま押し出せば、竪坑エレベータに載せことができる。
今日は貨車の代わりに見学者が乗る。
竪坑エレベータは、この奥にある仙人谷ダム建設を目的に、1936年(昭和11年)に作られた資材運搬用のエレベータ。
本来は欅平からそのまま鉄道を延ばす計画だったそうだが、標高差が250mもあって、あまりに急なため、やむを得ず、エレベータで200m上り、そこからあらためて線路を敷くという方法を取ったという。
70年以上も古いエレベータだが、つい最近まで、日本最大の積載量を誇ったという。
安全対策も施され、万が一故障しても隣にある人員用のエレベータに乗り移るか、エレベータの外に出てはしごで脱出することができるようになっているとのこと。
約2分で到着。
欅平下部駅同様に、貨車を載せたり、引き出したりしやすいような構造になっている。
今日は見学者と工事関係者の人数が多いとのことで、竪坑エレベータの反対側に置いてあった客車が1両増結された。
こうして竪坑エレベータの中を介して移動する光景は、ちょっと珍しいと案内をされた方が言っていた。
欅平上部駅から、少し横坑を進むと、展望台がある。
今日はあいにくの天気で、あまり遠くまで見渡すことができなかった。
横坑には、何のためにあるのかわからない流し台がちょっと気になった。
ここからは、上部専用鉄道とも上部軌道とも呼ばれる区間。
トンネルの断面積が小さいため、当然、機関車も客車もかなり小さい。
案内人の説明を聞きながら、まずは、仙人谷ダムを目指す。
この先に、例の?高熱隧道と呼ばれる区間がある。
建設時、なんと岩盤温度が160度以上に達し、ダイナマイトが自然発火して多数の犠牲者を出したところだ。
いまでも、温度が高くなったり、ガスが噴出するため、金属類が腐食することから、電化できず高熱隧道区間は蛍光灯も設置できない。また客車は耐熱構造となっている。
高熱隧道区間では、案内人が出入口の窓を開けてくれた。
ちょっとだったら手を出してもいいというので、ファインダーを見ずに、進行方向に向かって高熱隧道を撮ってみた。
軽く硫黄の臭いはしたものの、期待していたほど?は、暑くなかった。
仙人谷に到着する直前も、ドアを開けてもらったが、こちらはちょっとトンネル内に熱気があったような感じだった。
仙人谷駅に到着。
仙人谷駅は、黒部川の真上…つまり鉄橋の上にあり、目の前には仙人谷ダムがある。
見事な紅葉だったが、やはり天気がよくないせいで、その鮮やかさがわかりにくい。
雪が舞い、谷を風邪が通り抜けるので、かなり寒かった。
秋と冬が同居している…そんな感じだった。
仙人谷駅は、駅(橋)全体が屋根に覆われ、冬になると窓も覆って雪から、線路を守るようにしている。
運転席も覗かせてもらった。
仙人谷ダムを過ぎると、黒部川第四発電所まではあとちょっとだ。