3540 単車の虎
先日、知人から、“ソーシャルゲーム”を紹介された。
iPhoneをはじめとするスマートフォンなどで遊べる、「暴走列伝・単車の虎」というもの。残念ながら、パソコン向けにはサービスを提供していない。
これは、暴走族の一員となって、日々のタイマンから、どんどんレベルアップを図りながら、アイテムの購入やバイクの改造などをしていくSNSゲームだ。
ふだんは、ひたすら相手を見つけては、タイマン(1対1の決闘)をし続ける。タイマンに勝つと、少しずつレベルがアップし、SNS内で使えるお金やアイテムが手に入る。
得たお金の用途は、バイクの改造や、ゲーム内の自分自身のドレスアップなど。
ちなみに僕は、あえてドレスアップはせず、パンツ一丁となぜか靴下をはいてるという、怪しげな姿が気に入っている。
ときどき、所属する暴走族の総長から、他の暴走族との抗争があると呼びかけられる。
決められた時間になると抗争開始だ。当然ながら、その時間にあわせてゲームに参加していなければならない。
勝てば、レベルが上がり、お金が入ってくる。
同じ族かどうかを問わず、“ダチ”になるという仕組みがある。
タイマンを張っているうちに、バイクが損傷してしまい、レベルアップに影響してくる。
“ダチ”になると、これは自分で直せない、相手のバイクの修理ができるようになるため、ダチが多ければ多いほど、効率よくレベルアップができるようになるのだ。
先日まで、ステッカーを集めるイベントが行われていた。
詳しいことはわからないが、あらかじめ“族”のなかで、集めるステッカーを決め、そのステッカーを集める。
タイマンを張ると、ときどき、さまざまなステッカーが手に入る。
当然ながら、入手したものが自分の欲しいステッカーであることはまれなので、ステッカーは余る。
この余ったステッカーは、ゲーム内のたまり場で、交換するのだ。
たまり場の掲示板に、見知らぬ誰かが、手持ちのステッカーと欲しいステッカーが書き込んでいるので、条件にあえば、すぐに交渉開始だ。
ぐずぐずしていると、他の誰かに取られてしまう。
最初のうちは、ゲームなんて…と思っていた。
しょせん、ゲームの中だけのことだ…と。
しかし、いつの間にやら、時間があると、つい自分の“分身”のレベルアップをするようになっていた。
自分のレベルやバイクの装備、入手するステッカーの数とか、気になって仕方がなくなっていた。
ダチのバイク修理もしたくなる。
つまりは、“はまった”ということなのだろう。
もともと、僕は、ゲームは苦手で、(弱いために)すぐに勝敗が決まったり、面白くなるまでに長い時間が掛かったりすることから、ゲームを続ける前に飽きてしまうことがしばしばだった。
しかし、iPhoneで遊べてしまう、こういったゲームは、基本的なルールは単純なので、ちょっとした時間で気軽にできてしまう。
その一方で、複雑な要素もあって、奥が深い。
ゲームという閉じられた世界のなかではあるが、カスタマイズして“自分らしさ”、“ごだわり”も出せる。
ゲームが苦手と感じる要素が、ことごとく取り除かれているのだから、すーっと馴染むのは、当然なのかもしれない。
ただ…
ちょっとした時間さえあれば、ゲームをしてしまっているのは、決していいことではないような気がする。
ゲームに対して、きちんと自制できていないというのが問題なのだ。
ゲームをしている時間以外にも、つい意識してしまう時間が増えていたことに気付いた。
見方を変えると、“はまった”時間分だけ、代わりの何らかの時間が奪われたことに他ならない。
これまで、ゲームとあまり縁がなかった僕にとっては、すごく新鮮と感じた一方で、ゲームとの距離感の取り方は、けっこう難しいと感じている。
場合によっては、“暴走族”から足を洗わなければならないかもしれない。