3539 トーマスデマンド展
ドイツ現代芸術界を代表するトーマスデマンドの日本初の個展「トーマスデマンド展」を見学するため、東京都現代美術館へ。
新聞でこの展覧会を知り、おじゃこも気になっていたようだが、会期末が来週にまで迫ったギリギリで、ひとりで、やってくることになった。
今日来られたのも、たまたまで、早朝に、うるう秒のベントで国分寺に行った帰り、時間が早く、東京都現代美術館に比較的近い地下鉄東西線木場駅に行きやすかったからだ。
展示されている写真や映像は、すべて紙でできていると知ったら、誰もが驚くだろう。
全部これがほんとに紙でできてるの?と重いながら、よくよく見ると、やはり、違和感のある風景であることに気付く。
リアルなんだけど、リアルじゃない…。
紙でできた模型だけに、人間の姿がないということにも、独特の不気味さを感じた。
この感覚は、実際に巨大な作品という形で展示しているパネルを見ると、よく実感できる。
通常、作品を紹介する紙は、入口で渡されるものだが、ここでは、まず作品を見てから、最後に手渡される仕組みになっている。
それはそれで、おもしろかったのだけど、モチーフになっているのは、いずれも、ニュース性がある特別なシーンであることが多いので、その事情を知らないと、むしろおもしろさは半減してしまうのではないかと思った。
はじめ、この紙でできた精巧な模型は、ある程度の大きさに縮小しているとばかり思い込んでいたが、実際は、原寸大に作るのだという。
福島第一原発も、彼の作品のモチーフとなっていた。一連の彼の作品から感じる、違和感、不気味さを、十分実感できる作品だった。
そして、ひととおりの展示を見学し、帰りのエスカレータに乗って行った先で、作者が来日したときの、アーティスト・トークの模様が放送されていた。
こういった作品を作ろうと思ったきっかけへの思いなど、大変興味深かった。
また、このビデオで最後まで誤解していたことがあったということを知った。
映像展示の[パシフィックサン]という映像作品は、実に2400コマの連続写真によるものだったということだった。
実際に作品を傾けて撮ったとばかり思い込んでいたからだ。こんなに激しく動く映像が、すべてコマ撮りだなんて!
太平洋航海中に大嵐に襲われた豪華客船パシフィック・サン号の、大きく揺れる ..船内の様子が、YouTubeで公開されたそうで、これをモチーフにしたという。
そして、こちらが、彼がこの作品を作るきっかけとなった、実際の映像。