どん底の流儀/田中 森一・筆坂 秀世

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どん底の流儀 どん底の流儀

情報センター出版局 2008-02-23
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元検事田中森一氏と元日本共産党最高幹部筆坂秀世氏の対談。

筆坂秀世氏は、ちょうど1年くらい前に彼の本を読んでいたので知っていたが、田中森一氏については、名前はニュースで見かけたことがあるような気がしたが、不勉強で詳しくは存じ上げなかった。

本文や経歴を見ると、とんでもなく浮き沈みの激しい人生を送ってきたことがわかる。これは筆坂氏も同様で、かなり貧乏な家庭に生まれながらも、努力に努力を重ねて、一般的に言われるような出世コースとは違う道をたどりながら、頂点を極める。しかし、それも束の間。一転してその立場を追われていくのだ。

田中氏に至っては、逮捕起訴され懲役3年の刑が確定してしまっている。そして現在収監中だ。

妬み、やっかみなど、成功した人に対する風当たり…そして、社会を敵に回したときの周囲の人たちの変化に、相当戸惑い苦しんだことがよくわかる。

多くの人たちが手のひらを返すような言動に打ちのめされる中から立ち直るには、ほんの少数でも自分の味方になってくれる人たちの温かさが不可欠だと言っているが、その通りだろう。

そして、それ以上に必要なことだと思ったのは、月並みな言い方ではあるけど、やはり、どれだけ自分を信じられるか?ということかもしれない。

自分を持つ…つまり、自分の信念を貫く。譲れない部分は、絶対に譲らないということだ。こうなるためには、誰も真似のできないような“努力”という裏付けが必要だと思う。

本書を読み終えて、励まされる部分もありながらも、そうした努力という自分に決定的に欠けていることを突きつけられた気がして、しばらく考え込んでしまった。