ビジュアル図解 東京の「痕跡」/遠藤 ユウキ
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ビジュアル図解東京の「痕跡」 (DO BOOKS)
同文館出版 2008-09-30 |
東京に遺されたさまざまな“痕跡”を、貴重な写真や著者が自らから取材した現地の状況などを交え、つぶさに紹介している。
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痕跡の魅力や痕跡を探すためのコツなどとともに、特定のジャンルにこだわらず、廃駅跡、廃線跡、旧街道跡、戦跡、古墳、城址といったさまざまな切り口や、「なるほど」と思わせる解説など大変興味深い内容が満載だった。
視点は、僕にピッタリ合っているし、取り上げ方などもとてもいい線をいっている。実際、これまでに僕自身でも取り上げてきた場所も載っている。(軍用鉄道跡、上野大仏、三信ビルなど…)
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鉄道に関するネタでは、多少僕も詳しいつもりであったが、いまも、西武鉄道新宿本駅(ルミネエスト・旧マイシティ2Fの天井)が遺構?として残っているとか、山手線の旧線跡として田端6丁目富士見橋下にトンネルポータル(入口部分)が残されているとか、知らなかったことも多く取り上げられていた。
とても面白い本だった。
しかし…である。付け加えるならば、とにかく“惜しい”、“もったいない”のだ。
内容はいいのに、おそらくよかれと思ってつけられた、ガイドがあまりに中途半端としかいいようがない。
紹介された痕跡には、珍01 とか 鉄02 といった分野別に番号が振られ分類されている。巻末には一覧も載っているが、なぜか順番がバラバラだ。分類の法則性が書かれてないので、意味がよくわからない。地域別かなとも思ったが、必ずしもそうではないようだ。
そして、その一覧には、本文で紹介されている章番号が載っているものの、本文には、肝心の章番号が載ってないから、章ごとに何番目の記事かというのをわざわざ数えなければならない。なにも章番号にせず、ページ番号を振ればいいのに。また、各本文冒頭にも“DATA”として関連ページが紹介されているが、これも同じで、区名と章番号でしか紹介がないから、結局すぐに該当のページを見つけることができず、ストレスを感じてしまう。
せっかくの企画が、そうしたちょっとの不親切によって台無しになっているような気がしてならない。本当にもったいない。