BRIGE/大野美代子+エムアンドエムデザイン事務所

■建築・都市,龍的図書館

BRIDGE―風景をつくる橋 BRIDGE―風景をつくる橋

鹿島出版会 2009-09
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実家の近所に小さな川が流れている。

学校に行くときはもちろん、街に出る時には、必ず橋を通ってその川を渡る。何をするにしても、橋を渡らないと始まらないのだ。そう考えると、僕と橋は切っても切れない関係だったのだ。

特にそういう理由というわけではないが、橋という存在そのものが僕の興味の対象だ。

そこに掛けられた歴史的背景、使われている技術、周囲との調和など、橋には見どころがたくさんある。だから、つい写真を撮ってしまう。


先日見た、横浜レインボーブリッジ

一般公開時の五色桜大橋

もともとインテリアや家具のデザインをしていたというエムアンドエムデザイン事務所が、歩道橋の設計に加わったのがきっかけで、その後、数多くの橋梁やトンネルのデザインを手がけていく。この本は、そのデザイン事務所の作品集。でも、建築やデザイン関係の写真を撮り続けている写真家によって撮影なので、まるで写真集のような雰囲気。

この初めて手掛けた歩道橋で、歩行者のためのベンチを置こうと提案したら、橋の管理者の都の担当者に驚かれ、物議を醸したいう。

いまでは、よく見かけるような気がするが、通勤通学、買い物、散歩などで使う橋なので、日常生活の視点を大切にしよう考えたら自然な提案だった。むしろ、これまでこうした視点が欠けていたのかもしれない。

歩行者が利用する橋の場合、掲載されている写真の多くに人の姿が見える。

巻末に著者と写真家の対談があって「人の暮らしが見えてくる写真」と表現されていた。意図的に人を含めていたわけで、写真集のような雰囲気に見えたのはそういう理由があったのだ。

写真の他にも、橋の形式や、橋ができるまで、といったコラムもあって読みものとしても楽しめる。ただこのサイズとボリュームで、3,400円という本の定価は、若干高い気がするので図書館で借りるのがいいかも。