2056 ホームレス

物思いに耽る(雑感)

初めて僕がホームレス見たのは、新宿にサーカスを見に行ったときだった。

僕が育った街は、街としての規模は小さくなかったが、都心からは30km以上離れていたこともあってか、近所はもちろん、駅周辺の繁華街でもホームレスの姿を見かけることはなかった。確か、当時はホームレスなんて名前ではなく”浮浪者”と呼ばれていたと思う。

新宿駅西口の都庁に向かう地下通路の一部は、いまでは動く歩道になっているが、かつては、そこにたくさんのホームレスの姿があった。

このとき幼心に、見てはいけないものを見てしまったような感覚を覚えた。誰かから何か言われているわけではないのに、なぜか社会の”裏”の一面をかいま見た気がした。そして、なんとも言いようのない恐怖に襲われた。

あれから四半世紀以上の年月は経ったはずだが、新橋駅前でホームレスを見かけるたびに、あのときの衝撃を今でも鮮明に思い出してしまう。

Posted by ろん