ラッコのお寿司屋さん/西村 由多加
ラッコのお寿司屋さん 西村 由多加 新風舎 2006-04 |
本好きのお友達から、西尾維新の本が面白いと薦められたので、いつものように図書館に行って探してみた。人気のようで彼の本はどうしても見つからなかった。作者名で並ぶ本棚をずっと見ていくと、目を引く背表紙が見つかった。
「ラッコのお寿司屋さん」
まさかラッコが寿司を握るんじゃあるまいな…と思って、表紙をめくると…
これは、東京・築地のお寿司屋さんで起きた
本当のようなうその話です。
やばい(!?)。やっぱり、ラッコが寿司職人になりたいという、摩訶不思議なお話だった。
骨董品に目がない寿司屋の主人は腕は良いけど、かなりのお人好し。ひょんなことから、動物の言葉がわかるという薬を手に入れて、水族館のラッコと話ができるようになる。ラッコのちー坊は、主人の食べていたお寿司というものに大変興味を持ち、いつか自分も握ってみたいと思うようになる。その思いが、水族館脱走に駆り立ててしまう。
あまりの突飛な設定に、ありえねぇだろう…と思いつつも、ばかばかしいとも思いつつも、ついつい最後まで読んでしまった。
「バカやろう。おまえ、りっぱな寿司職人になりたいんじゃなかったのか? 食べ物を目の前にして我慢する心もおぼえること! 動物だからって甘えるな。自分が店をかまえた時に、ネタをぜんぶ自分が食べちゃったなんてことじゃ、シャレにもならないだろ?」
まことにもっともな意見。
あまりに人が良すぎる主人、お金に目がくらんでラッコを騙して店の中でショーをやらせてしまうおかみさん、冷静で物分かりの良い能役者のトメさん。果たして、ラッコのちー坊は、寿司職人になれるのか?
会社と自宅の間の一往復とちょっと…1時間あまりで読み終わってしまった。ちょっと難しい漢字には、ふりがなが振られていたので、小学生向けの本だったかもしれないが、とにかく気楽に読める本。