ラッコのお寿司屋さん/西村 由多加

■文学・評論,龍的図書館

4797481498 ラッコのお寿司屋さん
西村 由多加

新風舎 2006-04
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本好きのお友達から、西尾維新の本が面白いと薦められたので、いつものように図書館に行って探してみた。人気のようで彼の本はどうしても見つからなかった。作者名で並ぶ本棚をずっと見ていくと、目を引く背表紙が見つかった。

「ラッコのお寿司屋さん」

まさかラッコが寿司を握るんじゃあるまいな…と思って、表紙をめくると…

これは、東京・築地のお寿司屋さんで起きた
本当のようなうその話です。

やばい(!?)。やっぱり、ラッコが寿司職人になりたいという、摩訶不思議なお話だった。

骨董品に目がない寿司屋の主人は腕は良いけど、かなりのお人好し。ひょんなことから、動物の言葉がわかるという薬を手に入れて、水族館のラッコと話ができるようになる。ラッコのちー坊は、主人の食べていたお寿司というものに大変興味を持ち、いつか自分も握ってみたいと思うようになる。その思いが、水族館脱走に駆り立ててしまう。

あまりの突飛な設定に、ありえねぇだろう…と思いつつも、ばかばかしいとも思いつつも、ついつい最後まで読んでしまった。

「バカやろう。おまえ、りっぱな寿司職人になりたいんじゃなかったのか? 食べ物を目の前にして我慢する心もおぼえること! 動物だからって甘えるな。自分が店をかまえた時に、ネタをぜんぶ自分が食べちゃったなんてことじゃ、シャレにもならないだろ?」

まことにもっともな意見。
あまりに人が良すぎる主人、お金に目がくらんでラッコを騙して店の中でショーをやらせてしまうおかみさん、冷静で物分かりの良い能役者のトメさん。果たして、ラッコのちー坊は、寿司職人になれるのか?

会社と自宅の間の一往復とちょっと…1時間あまりで読み終わってしまった。ちょっと難しい漢字には、ふりがなが振られていたので、小学生向けの本だったかもしれないが、とにかく気楽に読める本。