1486 丹下健三

定点観察

 汐留の近くに、とても変わったビルが2棟ある。1棟は以前から別のコーナーでも紹介している「中銀カプセルタワー」である。僕が建築というものに興味を持ったきっかけを作ったと言っても過言ではない。そして、もう一棟が「静岡新聞・静岡放送東京支社」。こちらはカプセルタワーに向かう途中に、ずいぶん似た感じのビルがあるなという程度の認識しかなかったが、実はこのビルこそ、カプセルタワーを作った黒川紀章の師匠である丹下健三の造ったビルだった。

 その丹下健三が今日亡くなったとのこと。いま話題のフジテレビ本社ビル、東京都庁舎、広島の平和記念公園、国立屋内総合競技場(代々木体育館)、東京カテドラル教会など、一目見れば、あぁあの建物か…と思うような作品を数多く手掛けてきた日本を代表する建築家った。

 そのニュースを聞いて、数時間前「静岡新聞・静岡放送東京支社」に行ってみた。ついさっきまで雨が降っていたらしく、周囲の地面はすっかり濡れていた。ビルを見上げるとやっぱり「無駄が多いなぁ…」なんて思ってしまうのは、根が貧乏性なのかも。でも、かつては、おそらく時代の最先端を行っていたに違いないわけで、たくさんの人たちから注目を集めてきたのだろうな…

 またひとつの時代が幕を下ろした…という思いでビルを見ていたが、街行く人たちはそんなことを気にもとめず、いまにも雨が降りそうな銀座の街を足早に去っていくばかりだった。

Posted by ろん