7216 企画展「インド細密画」
昨日に引き続き、今日も無料鑑賞ができる企画展の鑑賞で、府中市美術館へやってきた。
着いたのはお昼くらいだったし、今日は無料ということで、美術館併設のカフェも混雑してると覚悟はしていたが、その場で待ってなくても空席待ちはスマホでわかる仕組みがある。
おかげで、ランチの時間までゆっくりと企画展の鑑賞ができる。
今回紹介されている「インド細密画」は、16世紀後半から19世紀半ばにインド各地の宮廷で楽しまれたという、かなり小さな絵だ。
またインド細密画は、イスラム教やヒンドゥ教の存在を無くしてはを鑑賞できないほど密接に関わっている…というか、宗教画そのものだ。
ただこれも興味深いのだけど、イスラム教は一神教で、ヒンドゥー教は多神教というまったく違っているのに、インド細密画というかたちで共存しているのだ。
それにしても、インドの絵なんて、これまで意識して観たことがあっただろうか。
まず、ざっと観てみて、感じたのは…
- 顔は真横から描かれることがほとんど
- とにかく目力(めじから)がすごい
- 意外と人物の個性がある描かれ方をしている
- 全身が描かれるがポーズは独特
- 服装や装飾品は描きこむが背景はかなりラフ
…といったところだった。
20分ほどして、席が空いたことがわかり、カフェへ向かう。
いただいたのは、この企画展の開催記念プレート「府中乃森のハレの日のミールス」。
ワンプレートのベジ(菜食)料理だそうで、日本の「幕の内弁当」みたいなものらしい。
飲み物までつけちゃうと2000円にもなるが、まぁたまにはいいでしょう。
カレーもしっかりとスパイスが効いて美味しい。
料理を紹介するリーフレットと、本物のスパイスをいただく。
まだ、半分も回ってないので続きを鑑賞。
解説にあったが、体はがやや正面を向いた横向き、顔は真横から捉えた描き方が定番…というのは「l目の力を重視するインドでは目を大きく描いても違和感のない横顔」が好まれたからだという。
目を自然な感じで描きたかったから、全員横顔なのだ。
目に対するこだわりがすごい。
「ラーマーヤナ」に登場するハヌマーンは猿の国の戦士で、ラーマに忠誠を誓う重要人物で、彼が、ラーヴァナ軍との戦いで敵の矢に倒れたラーマの弟を救うために、薬草をヒマラへ取りに行くものの、どの草かわからなかったので山ごと持って帰った…というエピソードを描いたもの《ヒマラヤの薬草山を持ち帰るハヌマーン》(1710年〜20年ごろ)とか…
ヒンドゥー教の神のひとりであるクリシュナが、バターミルクが大好きでそれを盗んで叱られるという場面があって、そのシーンがよく描かれているのだそうで、その様子はなんとも微笑ましい。でも、物語としてはその後、成人した彼は、多くの女性たちを虜にして1万6千人の妻と18万人の子供があったというから、なんともすごい。
西洋絵画や日本絵画との違いなども触れていたが、意外と共通しているところもあれば、まったく違うところもあって、かなり興味深く鑑賞できた。
写真撮影が一切不可だったのは、ちょっと残念。