4521 「村野藤吾の建築」展
目黒区美術館で開催されている、「村野藤吾の建築-模型が語る豊饒な世界」展を鑑賞。

京都工芸繊維大学美術工芸資料館に託されている村野・森設計事務所の建築設計図をもとに、院生・学部生が制作してきた80点の模型と、貴重な設計図などが展示されている。
嬉しいことに、1階の展示だけは写真撮影が可能となっていた。

目黒区は、村野藤吾の代表的な作品である、旧千代田生命本社ビルを目黒区役所として使用しているということもあって、村野藤吾とゆかりが深い。

旧日本興業銀行本社ビルは、現在のみずほ銀行本社ビル。かなり狭い敷地に建てられたことがわかる。制約の中から特徴を出すのは、まさに建築家の腕の見せ所だ。

村野藤吾の戦前の作品。森五商店東京支店(近三ビルデング)は、一度見に行ったことがあるが、とても戦前に作られたとは思えない。

窓枠に特徴あり。
しょっちゅう見かけるし、写真も撮ってるはずなのに、なぜだか自分の写真から検索できず…。

百貨店時代は一度も来たことがなかったっけ。
この独特の形で、この広さだと、百貨店としては限界はあっただろうなぁ…なんて思う。
写真は今から9年前のビックカメラ有楽町店。村野藤吾のデザインを打ち消してしまう大胆な変更を行ったことがわかる。

さまざまな作品のなかから、彼の特徴というか、共通点を見つけ出すというのも面白い。
ネットからの情報を含めて、平面からはわかりにくい、建物の持つ全体の雰囲気みたいなものも、立体の模型だからこそわかる。
一連の作品を俯瞰してみると、日本を代表する建築家たちと比べると、海外での活動はほとんどなく、もっぱら国内ばかりだ。
たまたま展示がそうなのかと思って、ちょっと調べてみたら、本当に活動の中心は国内ばかりで、海外での活動を見つけることができなかった。
しかも、公共施設やホテル、百貨店といった大規模なものから、住宅、社宅、茶室といった比較的規模の小さいもの、さらには、キャバレーとかダンスホールといった、著名な建築家が手がけないと思えるようなジャンルにまで作品を残していることが、とても興味深かった。