7208 館蔵品展「狩野派以外学習帳」
「館蔵品展 狩野派以外学習帳 江戸にきらめいた民間の絵師たち」を鑑賞するため板橋区立美術館へ。


ちょっと変わったタイトルだが、これは、以前「狩野派学習帳」という、江戸狩野派に注目した館蔵品展を開催しているためで、その第二弾という意味があるようだ。
狩野派“以外”とあるが、実際は、狩野派も紹介していて、狩野派以外の絵師たちの作品も合わせ、「富士山」と「牡丹」という 2つの画題に着目して紹介されている。
全作品が写真撮影可能。



まずは富士山。冒頭の紹介文のなかに「頂上を3つの峰に分けて描くことが定型となった」…とあったが、たしかに、自分も無意識のうちに山頂をジグザクに…しかも3つの小さな山を描いてた気がする。狩野尚信《富士見西行・大原御幸図屏風》は、その大きさを生かして富士山の雄大さと、のんびりと富士山を見上げる西行の対比が楽しい。
“以外”の作品として紹介されていたなかに、司馬江漢や亜欧堂田善などの作品もあった。

続いて「牡丹」全体的に、非常にリアルに描かれているのが、とても印象的だ。
どうして植物や動物などは、ものすごくリアルに描かれている作品が残っているのに、人物に限ってデフォルメしたり、意図的に崩したりするのだろう…と、いつも不思議に思う。

牡丹ではないのだけど、小田野直武《鷺図》は、主役の鷺はいうまでもなく、その周囲に描かれたところも、すごい臨場感がある。とくに廃材と思われる柱状の木などは、実際にこういう景色があったのだろうと思わせる。
狩野常信《花鳥人物貼交屏風》は、牡丹の花に眠る猫や舞う蝶が描かれた屏風だが、一番左側に、どこか見たことがあるようなものを見つけた。
まったく関係はないのだろうけど、この真っ黒な目…これは、徳川家光が描いた木兎(みみずく)みたいだった。