3543 フェルメール光の王国展
東京都美術館でマウリッツハイス美術館展が開かれ、あのフェルメールの傑作、真珠の首飾りの少女が展示されている。
それに合わせたかどうかはわからないが、“フェルメールセンター銀座”では、「フェルメール光の王国展」というイベントがあり、リクリエイト(re-create)と呼ばれる技法で、精密に再現されたフェルメールの全37作品が、実物と同じサイズで展示されている。
フェルメールの全部の作品を見る機会はそうないので、フェルメールセンター銀座に行ってみてもいいかなと思っていたら、先日、池袋の西武百貨店で買い物をしたら、「フェルメール光の王国展」の無料招待券をもらった。
なぜ、池袋の西武百貨店でくれたんだろう?と、招待券をよく見ると、6月末から7月中旬まで、銀座とまったく同じ展覧会が、池袋の西武百貨店で開催されるというのだ。
で、今日「フェルメール光の王国展」(Web魚拓によるキャッシュ)に行ってきた。
百貨店のイベントスペースということもあって、それほど広い会場ではないが、フェルメールの作品とされる37作品が、制作された順に並べられていた。
通常の美術展とは大きく違うのは、写真撮影が自由ということ。
展示作品が複製画であるということや、ある意味希少価値はないわけで、フラッシュなどによる劣化の心配もいらないということもあるのだろう。
音声ガイドは、iPhoneのアプリとして販売されているようだったので、事前にダウンロードして、聞きながら鑑賞した。
ちなみに、会場で音声ガイドを借りると、なんと1000円もするのでビックリ。いくらなんでも高すぎるな…。
光の魔術師と呼ばれたフェルメールの作品は、絵画に詳しくない僕でも、十分にそのすばらしさが伝わってくるような気がした。
これだけ一堂に会すると、フェルメールの作品に登場する構図や共通点を見つけるのも楽しい。床の模様や着ている衣装など…。
この企画はすべて、生物学者福岡伸一氏が監修したということで、彼が解説するビデオやパネルなども展示され、興味深いエピソードや見どころなどを紹介していた。
フェルメールの全作品を通してみられるとか、写真撮影がOKとか、フェルメールの作品に対する敷居を下げ、身近に見られるというメリットはあるのだけど、同時にどこか物足りなさを感じた。
というのも、やはり作品を見れば見るほど、複製画そのものに見えてきてしまう。
このリクリエイト(re-create)については、次のように解説されている。
「re-create」とは、複製でもなく、模倣でもない。あるいは洗浄や修復でもない。
「re-create」とは、文字通り、再・創造である。作家の世界観・生命観を最新のデジタル画像技術によって翻訳した新たな創作物である。
(中略)
結果的にここに立ち上がったものは、約350年前にフェルメールが描いたであろう色とコントラスト、細部の表現、光の意図を解釈しなおしたものである。「re-create」とは、原作の複写ではなく、翻訳であるとした私の考え方はここに由来する。
確かに、色や光の再現は見事であったが、結局や写真そのものであり、油絵の持つ質感というか、重ね塗りしたような立体感は皆無であった。
現代の技術でも十分に再現はできる気がするのだけど、無理なのかな?
今日、真珠の首飾りの少女を鑑賞すれば、東京都美術館の展覧会に行かなくてもいいかなと思ったが、逆に、行って本物を見たくなってきた。
もしかして、これは美術館に足を運ばせる、巧妙な作戦?だなんて思えてきた。