6649 よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―
東京ミッドタウンのサントリー美術館で開催中の企画展「よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―」を鑑賞。
奈良・東大寺の倉であった正倉院正倉に納められた約9000点にもおよぶ正倉院宝物。
多くが奈良時代の作品というから、どれも1300年ほど経っているわけで、どれもかなり脆く、原形をとどめているのもやっとという宝物も多い。
この正倉院宝物の模造製作は、明治時代にはじまり、1972年(昭和47年)からは、見た目だけでなく、材料や作り方、構造に至るまで忠実な再現に重点を置いているという。
このため、現在では入手困難な材料や、伝承が途絶えてしまった作り方から調べるという気の遠くなるような作業の積み重ねが、こうした再現模造の宝物なのだ。
そういった意味では、ほとんど本物と言っても過言ではないかもしれない。
最初に、8年がかりで完成したという「模造 螺鈿紫檀五絃琵琶」が展示されている。
形状だけでなく、実際に演奏することもできる。展示室内でこの琵琶によって演奏された曲?が流されていた。
1300年前に人々が聴いていた琵琶の音なのだ。
このあと、調度品、楽器、染織品、仏具などの分野から約70件と関連資料が紹介されている。
こうして再現された宝物を間近で見ると、こんなに鮮やかな色を使っていたんだ…とか、ほとんど見えないところにも装飾が施すこだわりなど、いろいろと発見がある。
実物の写真とともに、再現模造された作品が展示されている。
壊れていたり、色褪せていたり…と、とてもこれが再現された作品と同じだとは思えないものばかりだった。
本物にものすごい価値があるのは言うまでもないが、仮に本物が展示されていても、その価値はまったくといっていいほど分からないかもしれない。
これは完璧に再現されたからこそわかることだ。
1300年も前に、このような作品が作られていたのは本当にすごい。