7419 小企画展「真理はよみがえるだろうか」

博物館・展覧会,芸術・デザイン

今日は上野に所用があったので、そのまえに、ちょっとだけ、国立西洋美術館に寄って、小企画展「真理はよみがえるだろうか:ゴヤ〈戦争の惨禍〉全場面」を鑑賞した。ここで紹介されている作品は、スペインの芸術家フランシスコ・デ・ゴヤ(1746-1828年)が制作した連作版画で、1808-14年に起きたスペイン独立戦争に取材したものだそうだ。

ゴヤがこの世を去ってずいぶん経ってから公開され、国立西洋美術館に収蔵されてからも半分近くの作品が、これまで公開されてこなかったという。

この小企画展ではすべての作品を紹介している。

ゴヤ〈戦争の惨禍〉全場面
ゴヤ〈戦争の惨禍〉全場面
作品の前で考えさせられてしまう
作品の前で考えさせられてしまう

タイトルは意訳なのかもしれないが、とてもわかりやすい。

皮肉が込められていたり、あまりに冷酷な現実を突き付けられることだったり…。

凄惨な内容が多い…
凄惨な内容が多い…
《39番 立派なお手柄!死人を相手に!》
《立派なお手柄!死人を相手に!》

それだけに重みを感じる。

描かれている内容は、かなり凄惨で、もしこれが版画でなければ、見てられないのではないかと思えるほどだ。

さりとてエッチンングは、かなり繊細な表現ができるから、リアリティはじゅうぶんに伝わってくる。

見れば見るほど、戦争の惨たらしさを実感せずにはいられない。

《20番 治してやってまた戦場に》
《治してやってまた戦場に》
《12番 そのためにお前たちは生まれたのだ》
《そのためにお前たちは生まれたのだ》

敵も味方もなく、ただ戦争の悲惨さを訴えてくる気がする。戦争はダメだと誰もがわかっているのに、戦争がなくならないのはなぜなんだろう…と、かなり根本的なことを考えてしまった。

為政者自身が、こういう目に遭うわけではないから戦争を決断してしまうのか?

何もしなければ占領され搾取されてしまうから防衛のために戦争をするのか?

いまも世界各地で起きている戦争のことを考えると、いたたまれない気持ちになる。

Posted by ろん