6083 意見ごとに判断が揺れてしまう
京都府警は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した女性を薬物で殺害したとして、医師2人を嘱託殺人の疑いで逮捕したという。
ALSは、発症すると、徐々に全身のあらゆる筋肉が萎縮し動かなくなっていく病気で、徐々に人間のさまざまな活動を奪って、ついには呼吸修羅もできなくなり死に至るという原因不明、治療法未確立の難病だそうだ。
壮絶な病気との戦いに自ら終止符を打ちたいという思いは、察するに余りある。
法を犯してまで、この残された”最後の希望”を叶えた医師は、相当な強い信念をもって行ったのだろうから寛大な措置を…という思いをしてしまう。
実際そういうコメントも見られる。
しかし、リンクを辿って、逮捕された医師の妻のブログを見ると、ちょっと待てよという気になってきた。
家族はずいぶん苦労させられてきたことがつづられていた。
もちろん、ここで妻の主張をすべて信じるわけにはいかなくとも、この医師が、本当に強い思いを貫いて行ったことだったのだろうか?という気がする。
それだけに、死ではない、もっと他に選択肢もあったのではないか?…と思うし、実際にあったと思えてくる。
いろいろ検索していたら、この事件を聞いた直後に感じたこととは違う印象に変わってしまった。
さらに、妻が記者会見をやっていたが、ところどころに笑顔すら見られたその雰囲気からは、ついさっきまで感じていたものと違う何かを感じてしまった。
表面的な判断はとても怖い。
ただ、今回の件によって、安楽死や尊厳死などの議論や、逆にもっと”生きるための施策”が停滞するようなことがないようにと切に願う。