4687 目黒区美術館「気仙沼と、東日本大震災の記録」展

博物館・展覧会

目黒区美術館目黒区美術館で21日まで開催中の「気仙沼と、東日本大震災の記録」展を見に行った。

実はこれは、先日見に行った、気仙沼にある「リアス・アーク美術館」の常設展示の内容を再構成したものなので「この前見たばかり」の展示が、ほぼすべてだった。

もっとも、リアス・アーク美術館を知ったのは、目黒区美術館でこの展示をやってるのを知ったのが先なので、ちょっとややこしいのだけど。

リアス・アーク美術館では、時間がなく、あまりじっくり見てこられなかったということもあって、逆に、目黒であらためて、じっくり展示を見ることになった。

リアス・アーク美術館では、被災した物品を収集し、それらを展示するにあたり、独特な展示方法を取っている。

気仙沼と同じ内容ではあったけど…通常の博物館だったら、解説文には客観的な事実のみを載せるものだが、ここでは、収集場所、収集日時とともに、はがきが添えられていて、そこには、その持ち主があたかも証言したかのような、方言混じりの口調でコメントが書かれている。

被災者の証言ではない。

つまり、博物館的な客観的な資料価値がない。

最初に、こうした手法を知ったとき、軽い違和感を覚えた。

それは、まるで先日見た、南三陸の旧防災庁舎をライトアップするマスコミ各社のやり方を思い出してしまったからだ。

注目されるための、テクニックみたいな感じを受けてしまった。

しかし、実際の展示を見てみると、それとは違うという印象を持った。

一被災者としても生活してきた美術館の学芸員たちが、経験し蓄積したことを、こういった形で表現するすることによって、記録が困難な津波被災の諸事象を例示しようという試みなのだということがわかると、見え方が違ってくる。

被災した物品にどのような感じにコメントが付けられているかについては、美術館のサイトを参考にしてもらえれば、だいたいのイメージがつくと思うが、ただ陳列されているだけよりも、震災被害というものがどういうものであるかを圧倒的なリアリティさで、実感させられるのは間違いない。


【ご案内】2016年3月22日に発生したデータ消失トラブルにより、この記事は、下書きを元に、2度目に書かれたものになります。初回に公開した内容と異なるところがあると思いますが、ご了承ください。