3908 PAPER ‐紙と私の新しいかたち‐展

博物館・展覧会,芸術・デザイン

今日は、目黒区美術館で開催中の、「PAPER ‐紙と私の新しいかたち‐展」へ向かう。

8月も今日でおしまい。すでに2学期が始まっている学校もけっこうあるようだけど、8月31日といえば、やっぱり“夏休み最終日”のイメージ。

先日、秋到来のお知らせをしたばかりだが、やはり、夏のような暑さがぶり返してきた。

目黒駅から美術館まではちょっと歩く。

大賑わいの区民プールを横目に、目黒区美術館へ。

紙が主役の企画展だ。

さっそく、階段の踊り場をはじめ、至るところに作品が並んでいる。

展示室の入口までは、写真撮影が可能ということで、宝探し感覚で、添景を探してしまった。

これは、今回展示されている作品、「1/100建築模型用添景セット」の一部だ。

添景(てんけい)とは、建築模型などで、全体を引き立たせるために加えられた人や物などのこと。

最初に入った展示室には、作家自身が仕事で用いるために発想した「1/100建築模型用添景セット」がずらりと並ぶ。

小さな単色の紙を折り曲げ、そこにタイトルがつくと、ドラマが生まれ作品になる。

これって、この前見た展覧会でも似たような話があったっけ。

この作品を作った、“テラダモケイ”にも、見覚えが…先日見に行った、渋谷駅の模型にあった添景の人形たちは、テラダモケイの協賛だったのを思い出した。

添景のリアルさもさることながら、付けられたタイトルもいい。

猿に追いかけられてる人たちのタイトルが、「日光 」、たった一匹の犬しかいないタイトルが「渋谷 」、魚を抱えてる人がいるタイトルが「伊東」だったり…ハトやか?

「保険はいろうか?」というタイトルの作品には、ソファーに座る2人の前に、アヒルと猫が佇んでいたり、犬が力んでる「うんち」という作品の隣には、人が草むらで力んでる作品があって、タイトルが同じだったり…笑わせてもらった。

こんな小さな紙だけでドラマが表現できるのだ。

一枚の丸い紙に、細かな切れ込みを入れ、引き延ばすことで、独特な形を表現した「空気の器」も見事。

真っ暗な部屋の床に置かれた真白い本に海の波が映像が映し出されている「波打ち際の本」、空気で勝手にページがめくられていく「本の消息」、スーパーボールでしなりを付けた紙で作られた「木の葉の座布団」など、いろいろな発想を楽しませてもらった。

開いた古書の真ん中に、本物の蝶が止まっているかのような、「時間の標本」という作品は見事。文章だと上手く説明がつかないのだけど、本に直接描かれた蝶の羽の部分を切り取ると、本の張りで羽が浮き上がってくるのだ。

紙だけで、ここまで豊かな表現ができるのか!と、新鮮な驚きがあった。

なかなか言葉で説明しきれないため、作品のイメージは、展示内容については、こちらで詳しく紹介されていたので参考に…。

1階では、展示されている作品が販売されていた。

美術館で展示されている作品そのものが売られていると思うと、ちょっと不思議。

「1/100建築模型用添景セット」(1,575円)はもちろん、展示室にあったため写真撮影ができなかった、「空気の器」(1,260円~)も売られていた。

自分の生活においては、特に用途を思いつかないのに、欲しくなってしまう。

そして、展示されてはいなかったけど、売られていた商品で、すごく気になったのは、「かみのめがね」

まさに紙でできたメガネ。レンズに相当する部分人は、直径1mmほどの小さな穴が開いているだけ。

でも、この穴によってピントが合いやすくなる…というのだが、まさか…と思って、掛けてみたら…

「!!」

見える! もちろん普通のレンズを使ったメガネのように…というわけにはいかないけど、眼鏡を外しては見えなかった小さな文字が、焦点を合わすと見えるようになるのだ。

災害や事故でメガネが壊れたときの代替品に…と、紹介文に書かれていたが、以前紹介した商品の簡易版といったところか。

そろそろ帰ろうかと思ってたら、さっきまで気付かなかった場所にも、添景たちがひっそりと置かれていたことに気がつく。

こうなると、つい探してみたくなる。

あたりを見回してみる。

喫茶室の大きなテーブルの中心に、なにか小さなものが置かれている。

これは、なんだ?…と思って、よく見てみると…

なるほど…こういうことか…

楽しませてもらった展覧会だった。